アイ・ピースが新たなiPS細胞を発表
アイ・ピース株式会社(I Peace, Inc.)は、最新の技術を駆使して血液型O型の女性由来のGMP iPS細胞を3ライン樹立し、このたび提供を開始しました。
低拒絶反応リスクのGMP iPS細胞とは
細胞医療において、拒絶反応は常に克服すべき課題です。アイ・ピースでは、従来のHLAホモiPS細胞による拒絶反応リスク低減策に加え、血液型O型の女性由来のiPS細胞の需要が高まりつつあることを受けて、新たにこの細胞ラインを提供することにしました。これにより、iPS細胞のラインアップがさらに充実し、医療現場への適用範囲が広がります。
O型由来のiPS細胞のメリット
O型の血液は、A型抗原およびB型抗原を含まないため、どの血液型に対しても輸血時の拒否反応リスクが最小限に抑えられます。この利点は、細胞療法においても同様に現れます。O型血液由来のiPS細胞から派生する分化細胞を使用することで、免疫反応のリスクを大幅に下げることが可能となり、これにより細胞療法のロジスティックスが簡素化されます。
女性由来のiPS細胞の特性
通常、男性由来のiPS細胞ではY染色体の存在が不安定さをもたらす可能性がありますが、女性由来のiPS細胞はそのようなリスクが少なく、より安定した細胞療法を提供することが期待されています。さらに、女性由来の細胞は、Y染色体から作られる蛋白質を持たないため、女性受容者において免疫反応を引き起こさないという大きな利点があります。これにより、幅広い適応が可能となり、特に女性特有の疾病に対する治療法の開発が促進されることでしょう。
今後の展望
アイ・ピース株式会社は、今後も多くの企業にiPS細胞関連の製造受託サービスを提供し、iPS細胞医療の普及に貢献していく方針です。今後、iPS細胞の活用がより身近なものとなるよう、さらなる研究開発を継続し、様々な医療現場で活用されることを目指しています。
アイ・ピースの背景
アイ・ピースは、iPS細胞およびiPS細胞由来の細胞療法に特化したGMP細胞開発製造受託企業です。2015年に創立された同社は、京都大学山中伸弥教授の研究室出身で、ヒトiPS細胞の樹立に成功した歴史を持つ田邊剛士氏が率います。同社は、医療用細胞の製造受託サービスをグローバルに展開し、PMDAやFDAの基準に沿った高品質の細胞製品を提供しています。
アイ・ピースが目指すのは、すべての人々にiPS細胞を届けること。再生医療が早く患者の手に届く日を心待ちにしたいものです。