高強度アルミニウム
2024-10-24 16:27:47

新たな合金設計支援システムが生み出す高強度アルミニウム合金

合金設計支援システムの革新



国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)と、株式会社ユーイーエス・ソフトウェア・アジア(ユーイーエス)の共同チームが、新たな合金設計サポートシステムを開発しました。このシステムは、膨大な合金物性データを基に最適な合金組成を提案し、特にアルミニウムダイカスト合金において高強度を実現することを目指しています。

大規模物性データの生成


アルミニウムダイカスト合金の特性は、添加する元素の種類や量によって大きく変化します。そのため、従来は合金設計におけるデータ分析が困難でした。新たに開発されたサポートシステムは、大規模な多元系合金物性データを生成し、要求される物性を満たす合金組成を迅速に抽出できる仕組みを持っています。このシステムでは、元素間の相互作用やデータの可視化が可能で、研究者はデータに基づいた直感的な設計が可能になりました。

システムの有効性の実証


開発したシステムにより求めた最適なアルミニウムダイカスト合金は、実際に製造され、その強度が測定されました。その結果、通常のADC12合金より1.5倍も強い223MPaの耐力を持つことが確認されました。これは、自動車など高強度が求められる部品製造において非常に意義深い成果です。

社会的背景と期待


アルミニウムダイカスト合金は軽量で強度があり、リサイクル性にも優れています。しかし、限られた資源を有効利用するためには、その組成を最適化し物性を最大限に引き出す技術の開発が急務でした。最近では、自動車の一体成形を可能にするギガキャスト技術が注目されており、新しいアルミニウムダイカスト合金の開発が求められています。この背景により、今回の合金設計支援システムが必要とされるようになりました。

研究の進行と今後の展望


今後は、さらにマグネシウム合金や銅合金、鋳鋼、鋳鉄などの分野でもこのシステムの有効性を検証し、金属資源の有効活用につなげることが期待されています。また、新たな合金開発においても、このシステムが大きな役割を果たすと見込まれています。詳細な内容は2024年10月27日の日本鋳造工学会の全国講演大会で発表される予定です。産総研とユーイーエスの技術革新が、未来の材料科学に革新をもたらすことを期待されています。

まとめ


産総研とユーイーエスの共同開発による合金設計サポートシステムが実現した高強度アルミニウム合金の新たな道筋は、産業界にとって非常に有用な技術です。このシステムの活用により、材料科学のさらなる進展が期待されます。


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