Starlight Engine株式会社設立の概要
2025年4月3日、フュージョンエネルギーの実現を目指す新たな企業、Starlight Engine株式会社が設立されました。この会社は、2030年代に実電力の供給を実証するプロジェクト「FAST」を推進することが目的です。
設立の背景と目的
近年、フュージョンエネルギーへの期待は高まっており、国内外で開発が進められています。特に、政府が設定した目標に向けた国際的な競争が激化しており、民間セクター主導のプロジェクトが重要になっています。その中で、FASTプロジェクトは2024年11月に始動し、トカマク型装置を採用したフュージョンエネルギーの早期実現を目指しています。
Starlight Engineの社名は、太陽や恒星からのエネルギーの源であるフュージョンを示唆しており、代表には京都フュージョニアリング株式会社の取締役兼COOである世古圭氏が就任しています。この新会社は、FASTプロジェクト全体の調整を担当し、商業プラントの建設を視野に入れた事業展開を計画しています。
FASTプロジェクトの詳細
FAST(Fusion by Advanced Superconducting Tokamak)は、重水素と三重水素を用いて核融合反応を実現し、持続可能なエネルギー源を探求する民間プロジェクトです。特に、D-T燃焼によりエネルギーを開放し、実際に発電を行うシステムを構築することが目標となっています。
この取り組みでは、いくつかの重要な技術的課題に焦点を当てています。主な課題は以下の通りです:
1.
D-T燃焼の実証:フュージョンエネルギーの主要技術であるトリチウムを用いた燃焼プラズマを生成し、その持続と制御を行います。
2.
エネルギーの利用:核融合反応によって得られるエネルギーの取り出しと変換、発電に繋げる利用方法を開発します。
3.
トリチウム生成:燃料としてのトリチウムの増殖および利用技術の確立を目指します。
4.
システムインテグレーション:安全かつ持続可能な運転を行うためのプラント技術を開発します。
産学連携の推進
FASTプロジェクトは、技術開発においてアカデミアと産業界の連携が重要であることを認識しています。プロジェクトには多くの研究者が参画し、国内の主要大学と共同研究契約を締結することにより、プラズマ設計やプラント開発を進めていく方針です。さらに、三井物産、三菱商事、丸紅などの大手企業とも連携し、プロジェクトの加速が期待されています。
Starlight Engine株式会社の未来
この新興企業Starlight Engineは、フュージョンエネルギーの商業プラントを目指して研究・開発を進めることに加えて、他国への技術提供にも力を入れていく方針です。商業化の実現に向け、様々な課題を解決し、持続可能なエネルギーの実現に貢献することが期待されています。今後の展開が注目されるプロジェクトです。