脳の数の処理メカニズム
2025-03-25 14:03:21

脳が数を柔軟に扱う仕組みを解明した最新研究の成果

数を柔軟に扱う脳のメカニズム



最近の研究により、脳がどのようにして数量を相対的に扱うか、その仕組みが明らかになりました。この研究は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と東京大学が共同で行い、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて得られた脳機能画像の分析を通じて、その結果を導き出しました。

背景



数量に反応する脳領域は既に知られていますが、これまでなぜ特定の数に反応する神経細胞が存在するのか、その要因は不明でした。従来の研究では、特定の数が選択的に応答する神経細胞はあったものの、それが状況によって異なる数に反応するのかは明らかではありませんでした。これにより、数量処理が脳内でどのように柔軟に行われるのか、そのメカニズムも未解明でした。

本研究の成果



本研究では、被験者に白黒のドットからなるパターンを提示し、その際の脳活動をfMRIで計測しました。3日間にわたって異なる範囲における数量情報を扱いながら分析を進めた結果、同じ相対的な大きさのカテゴリーにおいては、圧倒的に異なる絶対数が提示されても、脳の活動パターンが類似していることがわかりました。これは、脳が状況に応じて数量の理解を柔軟に調整し、神経資源を効率的に利用していることを示唆しています。

視覚情報の処理過程



実験では、まず感覚領域で数の絶対的な捉え方が見られ、その後頭頂葉から前頭葉へと進む過程において徐々に相対的な表現が強まることが確認されました。この知見は、数量に限らず他の「大きさ」の概念、例えば時間やサイズについても同じことが言える可能性を秘めています。

研究の意義



この成果は、脳の数の処理に関する理解を深めるものであり、視覚情報処理の過程における変化を捉えたことが、コミュニケーションの効果を高める手助けになると期待されています。数の概念は、私たちの日常生活におけるコミュニケーションにおいて非常に重要な要素です。この研究が今後の脳機能理解における道しるべとなることでしょう。

今後の展望



本研究は数量に焦点を当てましたが、他の概念における相対的な脳内表現についても調査する余地があります。時間やサイズなどの様々な大きさに対する脳の捉え方が解明されれば、私たちの環境認識の全体像をより詳細に理解する手助けになる可能性があります。

論文情報



この研究の成果は、2025年1月に『Nature Communications』に掲載されており、詳細な論文名は「Hierarchical representations of relative numerical magnitudes in the human frontoparietal cortex」です。著者には東京大学の木戸照明氏と四本裕子教授、NICTの林正道研究員が含まれています。今回の研究はNICTの倫理委員会の承認を得て行われており、参加者には事前に説明があり、参加への同意も得ています。


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