大阪ガスが短時間で高精度なカーボンクレジット評価を実現
日本は2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しており、大阪ガスはその実現のためにさまざまな取り組みを進めてきました。中でも、温室効果ガスの削減・除去量を証明する「カーボンクレジット」の品質評価が、今後の持続可能性を考える上で非常に重要な役割を果たします。
大阪ガスはこの度、カーボンクレジットの評価を短時間で行うAIシステムを構築しました。従来、約1ヶ月かかっていた評価を数十秒に短縮できることで、プロジェクトの実施を迅速に進めることが可能になります。さらに、このシステムは100以上の基準と整合性を評価し、高精度に取り組むことができます。これにより、多くのプロジェクトを同時に効率よく比較することが実現しました。
カーボンクレジット評価の重要性
温室効果ガスの排出を削減する企業が増えている中、どうしても排出されてしまうガスをカーボンクレジットで相殺する活動が注目されています。2030年には、世界全体で最大100兆円相当のクレジットが必要とされる見込みです。しかし、これに伴うカーボンクレジットの質の評価が不適切である場合、環境保全の取り組みが単に見せかけのものである「グリーンウォッシュ」のリスクが生じます。
そこで、大阪ガスはシルベラ社(Sylvera Ltd)および丸紅株式会社との業務提携を結び、カーボンクレジットの品質を確保する体制を整えました。シルベラ社は、炭素データプラットフォームを提供する専門企業であり、その豊富なデータと専門的な知見は、大阪ガスの評価システムの強化に大きく寄与することでしょう。
業務提携の背景
シルベラ社との提携では、同社がカーボンクレジット創出プロジェクトの分析を全面的に支援し、衛星画像を用いた現地調査などの手法で質の高い評価を続けることを目指します。丸紅との提携でも、カーボンクレジットの評価システムを用いた安心できるプラットフォームの構築を目指します。これらの手法を用いれば、温室効果ガスの削減活動がより確実に行えるようになると期待されています。
未来への展望
大阪ガスは、2024年度内に評価システムの外販を目指し、この技術が適用可能なカーボンクレジットプロジェクトを半分に広げる予定です。環境に真の貢献をするカーボンクレジットの価値を見極めることがこのシステムの主な目的であり、アジア地域から順次展開を行う方針です。また、グリーンウォッシュを排除しつつ、実質的なCO₂削減を実現する評価基準を設けることで、全国的なカーボンニュートラルの達成にも寄与します。
会社情報
- - 企業名:大阪ガス株式会社
- - 本社所在地:大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
- - 代表者:藤原正隆
- - 設立日:1897年4月
- - 事業内容:ガスの製造・販売、電力の発電・販売
- - 企業名:Sylvera Ltd
- - 本社所在地:イギリス
- - 代表者:Allister Furey
- - 設立日:2020年
- - 事業内容:カーボンクレジットの評価・格付け
- - 企業名:丸紅株式会社
- - 本社所在地:東京都千代田区大手町一丁目4番2号
- - 代表者:柿木真澄
- - 設立日:1949年12月
- - 事業内容:多角的な事業活動を展開