AIとGISによる水道インフラの革新
株式会社EpicAIとアジア航測株式会社が新たなプロジェクトを始動し、音声漏水検知AIを共同開発することが発表されました。この試みは、水道GISと連携し、老朽化した上下水道インフラの維持管理をより効果的に行うためのものです。両社は、国内の自治体と連携しながら、水道インフラの持続可能な運営を目指しています。
背景と課題
近年、全国で多くの水道管が法定耐用年数を超え、その結果として漏水事故や断水リスクが高まる傾向が顕著です。これまで、漏水箇所を特定するためには、巡回点検や聴診棒を用いた人的作業が主流でしたが、この方法は自治体職員や受託事業者にとって負担が大きくなっています。このような課題を解決すべく、EpicAIはこれまでにも衛星画像を用いて漏水リスクを高精度に予測する研究を進めてきました。
一方で、アジア航測は、長年の経験を持つ空間情報コンサルタントとして、全国多数の自治体に水道GISの導入実績があります。これらの強みを合わせることで、漏水検知の自動化と予兆保全が可能になると期待されています。
共同開発の目的
両社の共同開発の狙いは、「水道GIS × 音声データ × AI」の融合により、漏水検知のプロセスを革新することです。これにより、漏水地点の特定が迅速かつ正確に行えるようになり、自治体が抱える水道インフラのデータ管理・運営の負担を軽減することができます。これまでにEpicAIとアジア航測は複数の自治体と協力し、2025年度に向けてデータ収集と検証を進めています。
企業情報
株式会社EpicAI
EpicAIは2023年に設立されたスタートアップで、東京大学松尾研究室から生まれた技術を活かし、AIのオーダーメイド開発を主軸としています。特に、画像認識技術や生成AI技術に強みを持ち、インフラメンテナンスや製造業界へのソリューション提供を行っています。公式ウェブサイトでは、各種サービスやプロジェクトについての詳細情報が掲載されています。
アジア航測株式会社
設立は1954年で、航空測量やGIS構築の分野において数多くの実績を誇る企業です。自社の航空機を活用し、国土保全や社会インフラのマネジメントへ幅広く貢献しています。水インフラ管理や維持管理計画の提案、不具合検知など、広範な分野でコンサルティングサービスを提供しています。これらの実績が、今回の共同開発においても大きな力となるでしょう。
まとめ
この新しいプロジェクトは、水道インフラの維持管理をより効率的かつ効果的に行うための大きな一歩です。技術の進化により、漏水検知プロセスが革新されることで、今後の水道運営がより持続可能なものになっていくことが期待されています。この取り組みが成功を収めることで、日本全国の水道インフラが強化されることを願っています。