三菱総合研究所とQUICKの共同研究について
この度、株式会社三菱総合研究所と株式会社QUICKが、人材に関連する経営の評価基準を明確化することを目的に、共同で研究を行うと発表しました。この研究は、企業の人的資本に基づく新たな企業価値向上の可能性を評価するための手法を開発することに特化しています。さらに、このアプローチにより、企業間の比較と評価が可能となる基準を設けることも目指しています。
1. 研究の背景
近年、企業価値を高めるための重要な要素として無形資産における人的資本が取り上げられています。特に2023年3月期からは、上場企業等に求められる人的資本情報の開示が義務化されており、これにより「法定開示」は進展を見せています。しかし、任意での情報開示にはばらつきがあり、企業がその価値を高めるための資料として十分な内容にはなっていないのが現状です。
加えて、人的資本を積極的に戦略的活用する企業はまだ限られています。さまざまな企業が人的資本経営の重要性を認識しているものの、具体的な戦略として実施しているケースは少ないのです。
2. 共同研究の概要
今回の研究において、三菱総合研究所は「人的資本経営コンソーシアム」での経験を基に、企業戦略に直結した人材戦略の実行を支援する知見を活かします。一方、QUICKは、金融情報の提供における豊富な経験を生かし、信頼性の高い指標を策定します。具体的には、以下の活動を行います:
1. 人的資本情報に基づく中長期的な企業価値向上の評価手法の開発。
2. 評価指標を用いた企業向けサービスの提供。
このように、両社はそれぞれの強みを生かした新しい分析手法の確立を目指しています。
3. これまでの取り組みと未来の展望
過去の研究成果を基に、現在約100項目の要素を人材版伊藤レポートと人的資本可視化指針に沿って設計し、TOPIX100企業の報告書から生成AIを利用して情報抽出を行っています。この大規模なデータ分析により、人的資本戦略が企業価値に与える影響を解明することが期待されています。
研究成果の一部は、MRIのウェブサイトで発表される予定です。特に10月頃には、QUICKの指標とともに、詳細な結果を公表すると見込みます。この共同研究の成果は、企業にとって役立つ指標を提供し、人的資本に関する情報が企業戦略としての位置付けを強化する手助けになるでしょう。
結論
人的資本の価値を評価する新たな手法を模索するこの共同研究は、企業にとって大きな意義を持つと言えます。この動きが、企業による人的資本の重要性を再認識させ、人材戦略が経営に与える影響を明らかにする一助となることが期待されています。