肝疾患治療の新展開
2021-08-05 11:30:02
革新的な肝疾患治療細胞シートの開発と資金調達の背景
背景と肝疾患の現状
現代医療において、慢性的な肝疾患は依然として多くの成人や高齢者に影響を与えています。日本国内で推定される肝硬変患者は約13万人にも上りますが、これに対する有効な治療法は限られています。その中で、肝移植は年間2500件の適応患者がいるものの、肝臓のドナー不足により現実には年間500件しか手術が行われていません。その結果、肝硬変による死亡者数は毎年約1万7000人に達するという深刻な状況が続いています。
カノンキュア社の取り組み
こうした厳しい現実を受け、鳥取大学の汐田剛史教授を中心とする研究チームは、肝疾患治療用の細胞シートを開発しました。この細胞シートは生体内の間葉系幹細胞を利用し、特別に設計された低分子薬IC-2を使用して肝細胞に変化させるものです。生成された細胞シートは直接肝臓の表面に移植され、線維成分を大幅に減少させることで肝臓の再生を促進します。
肝硬変は肝細胞癌のリスクファクターでもあるため、この新しい治療法には肝癌の発生を抑える効果も期待されています。カノンキュア社はこの技術を迅速に患者に提供するため、数年以内に臨床試験を開始することを目標に研究開発を進めています。
資金調達と業務提携の狙い
今回、カノンキュア社はサイバーダイングループとの資本業務提携を発表し、細胞シートの実用化を加速するための資金調達を実施しました。この提携により、カノンキュア社はサイバーダイン社の技術力をフル活用し、細胞培養から手術、治療管理までの幅広いサポートを受けることが可能になります。こうした多方面からの支援により、肝疾患治療用細胞シートの実用化が一層進むことでしょう。
サイバーダイン社の山海社長は、「肝硬変は治療法がないとされてきたが、カノンキュア社の細胞シートはその可能性に革新をもたらすものであり、取り組み自体も非常に価値のあるものだ」と述べています。また、川崎市の医療・バイオ系イノベーションベースを活用することで、さらなる研究開発の加速が期待されています。
今後の展望
この革新的な細胞シートが実用化されることで、多くの肝疾患患者に新たな治療の選択肢が提供されることが期待されています。肝硬変や肝癌に苦しむ人々の未来を明るく照らすこの取り組みは、医療界において新たな時代の幕開けを意味するかもしれません。
カノンキュア社はこれからも研究開発を続け、肝疾患治療用細胞シートの実現を目指して邁進していくことでしょう。今後の進展にぜひ注目していきたいところです。
会社情報
- 会社名
-
カノンキュア株式会社
- 住所
- 鳥取県米子市西町86番地鳥取大学医学部内
- 電話番号
-
050-6863-4511