Quantinuum、商用量子コンピュータHeliosを発表
2025年11月5日、ニューヨーク市において、量子コンピューティングの先端を行くQuantinuumが次世代の高精度汎用量子コンピュータ「Helios」の商用サービスを開始すると発表しました。この新しい量子コンピュータは、企業による量子コンピューティングの利用を加速させることを目的としています。
最高精度を誇るHelios
Heliosは、業界史上最高の忠実度を持つ汎用商用量子コンピュータとして登場します。このシステムはリアルタイム制御エンジンを搭載し、従来の古典コンピュータと同様の方法でプログラミングが可能です。新たに開発されたPythonベースのプログラミング言語「Guppy」を用いることで、開発者は量子コンピュータと古典的な計算をシームレスに統合することができます。
Quantinuumの社長兼CEOであるラジーブ・ハズラ博士は、「次世代コンピューティングの転換点は今日始まる。企業が初めて高精度汎用量子コンピュータにアクセスすることで、さまざまな産業において革新が生まれるだろう」と説明しました。
GenAIと量子生成データの融合
Heliosには、生成型AI(GenAI)モデルを強化する能力があります。これはデータ分析や材料設計、量子化学などの分野でAIの可能性を最大限に引き出すことを意味します。Quantinuumは、NIVIDIAとのパートナーシップを結び、NVIDIA NVQLinkを通じてNVIDIA GB200をHeliosに統合することで、特定の市場向けのアプリケーションを生み出します。
さらに、NVIDIAの高速計算技術をHeliosや将来のシステムに取り入れることで、量子計算におけるリアルタイムの誤り訂正も実施される予定です。
初期パートナーとの連携
Quantinuumは、アムジェン、BMWグループ、JPモルガン・チェース、ソフトバンクなど、多くの企業と初期ユーザー/協力パートナーのコミュニティを構築しています。これにより、量子コンピュータ技術の実用化に向けた取り組みを加速します。
シンガポールとの戦略的提携
同日、Quantinuumはシンガポール国家量子局と国立量子コンピューティング・ハブとの間で戦略的パートナーシップを結びました。この契約により、Heliosのシンガポール国内でのアクセスが可能となり、計算生物学や金融モデリング、先端材料などの商用応用が促進されます。
新たなエコシステムプログラム
Quantinuumは、量子コンピューティングの商業的普及を目的とした新たなエコシステムプログラム「Q-Net」を導入。顧客のフィードバックや協業を促進し、Helios上でのアプリケーション開発を支援するスタートアップパートナープログラムも設けています。
量子コンピュータ技術の進化は、これからのビジネスに大きな影響を与えることが期待されます。Heliosが実現する新しい可能性に、多くの業界が注目しています。