世界初の発見!ホタテ由来プラズマローゲンの驚異
2022年7月20日、レオロジー機能食品研究所の研究グループが発表した新たな研究成果が注目を集めています。ホタテ由来のプラズマローゲンがナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化し、がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃するメカニズムを発見しました。
自然免疫の重要性
免疫は、私たちが生まれた時から持っている「自然免疫」と、環境や病原体に応じて形成される「獲得免疫」に分けられます。特に自然免疫は、病原体が体に侵入した際にすぐに反応して排除策を生み出します。この防御機構の一環として、ナチュラルキラー細胞はウイルス感染やがん細胞との闘いにおいて極めて重要な役割を果たします。
プラズマローゲンとは
プラズマローゲンは脂質の一種で、脳や心臓、筋肉、免疫細胞に多く存在します。中でもホタテ由来のものは、特に機能性が高いとされています。これまでさまざまな動物から抽出されてきましたが、このホタテ由来のプラズマローゲンが特に注目される理由は、その構造にDHAが多く結合しているからです。
具体的な研究内容
今回の研究チームは、ホタテ由来プラズマローゲンがNK細胞をどう活性化するのかを探求しました。実験では、ホタテ由来プラズマローゲンを摂取したマウスにおいて、ウイルス感染やがんの増殖が著しく抑制されることが確認されました。この結果、ホタテ由来プラズマローゲンがNK細胞の受容体GPCR21を活性化し、がん細胞への攻撃力を強化することが分かりました。
さらに、NK細胞が攻撃時に放出するパーフォリン1の増加も観察され、これによってウイルス感染細胞が効果的に破壊されるプロセスが明らかになりました。人間の免疫細胞でも同様の反応が確認され、プラズマローゲンがNK細胞の活性化を促進し、ウイルスやがんに対する抵抗力を高める可能性が示唆されています。
今後の展望
この研究は、ホタテ由来プラズマローゲンが新たな抗ウイルス薬やがん治療薬になる可能性を秘めていることを示しています。今後、実用化に向けた研究が進められれば、私たちの健康を守る新たな選択肢となるかもしれません。
研究の背景
今回の研究は、「Plasmalogen-mediated activation of GPCR21 regulates cytolytic activity of NK cells against the target cells」というタイトルで、The Journal of Immunologyに掲載されました。これにより、プラズマローゲンが人間の免疫機能に与える影響が広く認知されることになりました。
実際に、病気や疲労を抱えている人においては血中のプラズマローゲン濃度が低下しており、これがNK細胞の活性を低下させる一因になっています。今後の医療分野での利用が期待されるこの成果に、多くの人々が注目しています。
参考情報