三菱電機、最新パワー半導体モジュールを発表
三菱電機株式会社は、民生機器や産業機器向けの新しいパワー半導体モジュール「Compact DIPIPMシリーズ」のサンプル提供を2023年9月22日に開始しました。これにより、定格電流30Aの「PSS30SF1F6」と、定格電流50Aの「PSS50SF1F6」という二つの製品がラインアップされ、効率良く電力を変換するデバイスとして注目されています。
この新シリーズは、特にパッケージエアコンやヒートポンプ暖房、給湯システムなどの使用に適しており、小型化と高性能化を実現しています。具体的には、RC-IGBTを採用することで、従来品に比べてモジュールの底面積を約53%も縮小しました。これによりインバーター基板の設置スペースを抑えつつ、性能はそのままにしたことが大きな特徴です。
脱炭素社会に貢献する新技術
近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進んでおり、その中でパワー半導体の需要が急増しています。特に、省エネ効果を求める声が高まる中で、インバーター化が進んでおり、この新しいDIPIPMシリーズはそのニーズに応えるために設計されています。環境に優しい技術を提供することで、サステイナブルな社会の実現に寄与する姿勢が伺えます。
さらに、新製品にはアーム短絡保護のためのインターロック機能が搭載されています。この機能により、インバーター基板設計がより簡略化され、従来製品との互換性も保たれています。また、連続動作温度が-40℃に設定され、寒冷地においても安定した運転が可能な点も特筆すべき部分です。これにより、北米や北欧などの寒冷地域におけるヒートポンプ式空調機の普及を促進します。
PCIM Asiaへの出展
「Compact DIPIPMシリーズ」は、2025年に上海で開催されるPCIM Asiaにも出展予定です。この国際的な展示会では、最新の電力変換技術やインテリジェントパワー半導体に関する情報が集まります。
三菱電機の進化
三菱電機は1997年にインテリジェントパワー半導体モジュール「DIPIPM」を初めて製品化し、その後も数多くのアプリケーションで採用されています。これにより、エアコンや洗濯機、暖房機、産業用モーターなどの分野において、インバーターシステムの小型化と省エネに大きく貢献してきました。
新たに開発された「Compact DIPIPM」シリーズは、その技術の集大成でもあり、現代の多様なニーズに応えることを目指しています。これからの電力変換市場において、三菱電機のさらなる活躍が期待されます。
まとめ
三菱電機株式会社の「Compact DIPIPMシリーズ」は、小型化と高性能を両立させた革新的なパワー半導体モジュールです。これからの社会において重要な役割を果たすと期待されており、特に脱炭素社会の実現に向けた取り組みとしても注目されています。この新技術が、各種民生・産業機器の進化を促進し、より持続可能な未来に向けて貢献することでしょう。