世界初、使用済みプラスチックから生まれたアンモニア燃料が船舶に供給開始
株式会社レゾナックは、日本郵船が8月下旬に竣工予定の世界初の商用アンモニア燃料船であるアンモニア燃料タグボート(A-Tug)に、環境性能の高い低炭素アンモニアを供給しました。
このアンモニアは、使用済みプラスチックをリサイクルして製造されたものであり、使用済みプラスチック由来のアンモニアを燃料用途で供給するのは世界初となります。
Truck to Ship 方式による低炭素アンモニア供給
A-Tugへの燃料アンモニア供給は、横浜市港湾局の協力のもと、横浜港本牧ふ頭で行われました。
今年4月には、世界で初めてトラックから船舶への燃料アンモニア供給となるTruck to Ship方式が導入されました。今回の供給は、日本郵船、株式会社JERA、レゾナックなどの関係者が協議を重ね、安全な運用方法の確立や港湾地区への安全な輸送・受け入れ体制の構築に取り組んだ結果、安全かつ円滑に完了しました。
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として注目されています。
レゾナックが供給するアンモニア「ECOANN(エコアン)」は、家庭や企業から排出される使用済みプラスチックを原料の一部として、プラスチックケミカルリサイクルによって製造されています。
環境負荷低減への取り組み
レゾナックで製造されるアンモニアは、製造過程で化石燃料や化石燃料由来のエネルギーを使わないことで、CO2排出量を80%以上削減しています。
川崎プラスチックリサイクル(KPR)プラント
レゾナックの川崎事業所では、2003年から使用済みプラスチックを水素やアンモニアなどの化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル」(KPR)を実施しています。
このプラントは、使用済みプラスチックを原料に高温でガス化し、分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出します。定常運転中は化石燃料をまったく使いません。
資源循環と持続可能な社会の実現
KPRで取り出された水素の一部は近隣プラントにて化学原料向けや水素ステーションにて燃料電池自動車向けに活用されます。残りの水素は主にアンモニアの原料となり、合成繊維、合成樹脂、化学肥料、薬品などに使用されます。
一方のCO2は大気中に放出することなく、グループ会社でドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用されるなど、資源循環を実現しています。
KPRは、ガス化ケミカルリサイクルを20年以上にわたり安定運転している世界で唯一のプラントです。
レゾナックは、今後も長年培ってきたノウハウを活かし、低炭素アンモニアを安定的に製造し、船舶まで安全に輸送提供することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。