細胞農業の垣根を低くする「勝手場」サービス開始
新たな食資源として注目される細胞性食品(培養肉)の製造技術「細胞農業」を推進するインテグリカルチャー株式会社が、細胞農業事業化に必要な資材とノウハウを提供するサービス「勝手場」を開始しました。
「勝手場」は、細胞農業に特化した製品のマーケットプレイスです。同社が開発した食品グレードの培養資材に加え、カルネットコンソーシアムで共同開発された製品の販売も検討されています。培養肉生産に取り組む企業だけでなく、これから参入を検討する企業にも広く提供される予定です。
「勝手場」では、資材の提供に加え、細胞農業に関する知見や経験を共有するためのセミナーや交流会、個別ニーズに合わせたコンサルテーションなどのサービスも提供していく予定です。
第一号会員として、培養肉生産工場の実現を目指し、スケールアップに適した細胞や培養プロセスの開発に取り組む株式会社オルガノイドファームが参加予定です。
「勝手場」が目指すもの
「勝手場」は、「すべてのひとが自由気ままに細胞農業に参加できる世界」をミッションに掲げ、細胞農業で必要な食品グレード資材を販売するメーカーと細胞農業に関心のある企業を繋ぐB to Bマーケットプレイスです。
細胞農業では、食品としての安全性と環境負荷低減を両立するため、細胞を効率的に培養できる資材が不可欠です。しかし、これらの資材は、培養肉製造におけるノウハウとして秘匿されることが多く、新規参入企業にとっては、必要な資材を揃えることが大きなハードルとなっていました。
「勝手場」は、会員企業に対して細胞農業資材への容易なアクセスを提供することで、細胞農業の活性化を目指しています。会員企業は、これまで必要不可欠であった細胞農業資材の研究開発に要する時間とコストを削減することができます。
「勝手場」の製品ラインナップ
現在、「勝手場」では、食品原料から成る基礎培地、細胞剥離剤、細胞接着コート剤、細胞凍結液の4つの製品を展開しています。これらの製品は、同社が整備した日本初の培養肉生産ラインで採用された資材であり、培養肉製造に不可欠な要素です。
これらの製品は、当面は研究用試料として販売されますが、来年には食品としての上市を目指しています。
さらに、同社の独自技術である血清様成分の作出システム「CulNet® System」製品や、培養肉製造で使用されるプロダクトリアクターに代表される細胞農業用装置も製品ラインナップに追加していく予定です。
「勝手場」が実現する未来
「勝手場」は、インテグリカルチャーが築き上げてきた細胞農業ネットワークを活用し、国内外の細胞農業企業や細胞農業に関心を持つ企業にサービスを提供していきます。同社は、細胞農業の黎明期である2015年の創業以来、世界中の細胞農業企業と連携し、国際的な共同研究や情報交換を進めてきました。
「勝手場」は、同社の共創的な考え方と、これまで培ってきた細胞農業の繋がりを新たな段階へと発展させることで、細胞農業に関心を持つすべての人が共に発展できる「場」として創り上げていくことを目指しています。
細胞農業の未来を拓く「勝手場」への期待
インテグリカルチャーが開始した「勝手場」サービスは、細胞農業の普及に向けて大きな可能性を秘めていると感じます。
従来、培養肉などの細胞農業は、技術的なハードルが高く、新規参入企業にとっては参入障壁となっていました。「勝手場」は、必要な資材やノウハウをワンストップで提供することで、これらの障壁を取り除き、より多くの企業が細胞農業に参入しやすくなる環境を提供します。
「勝手場」が提供するサービスは、単に資材の販売にとどまらず、細胞農業に関する情報共有やコンサルテーションなど、多岐にわたっています。これにより、細胞農業の技術開発や事業化を加速させる効果が期待されます。
特に、同社の独自技術である「CulNet® System」は、FBS(ウシ胎児血清)に代わる、低コストで安全性の高い血清様成分の作出を可能にする画期的な技術です。「勝手場」を通じて、この技術が広く普及することで、細胞農業のコスト削減に大きく貢献すると期待されます。
「勝手場」は、細胞農業の普及と発展に不可欠なインフラとなる可能性を秘めています。今後の展開に注目し、細胞農業が食の未来をどのように変えていくのか、期待が高まります。