量子技術の未来を探る共同研究講座の開設
2023年6月、豊田中央研究所(豊田中研)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は「豊田中央研究所-KEK量子イノベーション共同研究講座」を設立し、量子技術のモビリティ分野への応用を目指す研究を開始しました。この共同研究は、量子技術の進展を通じて未来の移動手段を革新することを目指しています。
量子技術の進展
近年、量子力学に基づく量子技術は急速に発展しています。これには、量子コンピュータや量子センサー、量子通信などが含まれます。これまで積み重ねられてきた基礎科学の成果を活かし、産業界での実用化が進められています。ただし、量子技術はその特性上、実社会への適用にはいくつかの課題があります。
一つ目は、量子技術を実用的なシステムとして展開するための基盤技術の確立です。量子現象を安定して利用するには、信頼性や再現性の確保が不可欠です。さらに、技術の設計や開発においては、量子技術特有の複雑な課題が生じるため、工学的な観点からの検討が求められます。
共同研究講座の特徴
この共同研究講座では、豊田中研による社会実装を考慮した応用研究のノウハウと、KEKが蓄積した基礎研究の知見が融合されます。これにより、価値のある評価や分析、設計に関する基盤技術の確立が期待されます。最も注目すべきは、産学協同による共創型の研究アプローチです。両研究所の研究者が対等な立場で、互いの強みを持ち寄って共同研究を進める仕組みが採用されており、新たな発見が生まれることが見込まれます。
また、学生や博士研究員の参加も歓迎されており、量子技術の分野で人材を育成することにも力を入れています。このようにして、基礎研究から産業応用、人材育成までがシームレスにつながる研究開発が進められます。
具体的な研究テーマ
今回の共同研究講座では、具体的に次の2つのテーマに取り組みます。
1.
電子スピンの振る舞いの解明:量子センサーや量子コンピュータの基盤技術となる量子ビットの特性を決定づける要因についての研究。
2.
高効率冷却技術の開発:量子応用デバイスの性能を引き出すために必要不可欠な極低温環境を実現する冷却技術の開発。
このように、量子技術の発展に寄与するための研究テーマが用意されており、成果が期待されています。
今後の展望
豊田中研とKEKは、共同研究講座を通じて量子技術の革新を図り、未来のモビリティ社会を支える新たな技術基盤の構築に貢献します。量子技術は今後の産業において極めて重要な役割を果たすと期待されており、その実用化が待たれるところです。今回の共同研究講座が、その第一歩となることを願っています。
共同研究に関する詳細は、KEKの外部連携推進部までお問い合わせください。