企業の持続可能性:現状と新たな挑戦を考える調査結果
近年、企業の持続可能性への関心が高まっている一方で、その実現にはさまざまな課題が立ちはだかっています。日本アイ・ビー・エム株式会社が発表した調査レポート『規制対応のためだけの「ESG報告」を超えて』によると、経営層の約75%がサステナビリティーをビジネスの中心に据えることに同意しているものの、実際には半数近くが資金調達に苦戦していることが明らかになりました。
調査によれば、サステナビリティーを業務全体に組み込んでいる企業は、そうでない企業に比べて財務的にも優れた成果を上げていることが示唆されています。しかし、サステナビリティー関連のデータやインサイトを業務改善に取り入れている企業は全体の約3割にとどまっており、企業内でのサステナビリティー推進が十分に進んでいないことも課題として浮き彫りになっています。
さらに、経営層からの回答によると、43%はサステナビリティー投資にかける費用が報告にかける費用を大きく上回っている現実にも注目が集まります。これは、多くの企業が複雑な報告要件の管理に追われていることを意味し、本来力を入れるべきイノベーションや取り組みが疎かになっている可能性が高いです。
また、約67%の経営層が組織内でサステナビリティーの優先順位を高める必要があると考えている一方、実際にその必要なスキルを持った人材が不足していることも課題とされています。これに対し、生成AIなどの新しいテクノロジーの導入がサステナビリティーへの取り組みを促進する期待が高まっていることも興味深い点です。調査によれば、約64%が生成AIが重要になると考えており、さらに73%がサステナビリティー向上のために生成AIへの投資を増やす意向を示しています。
調査の結果から、サステナビリティーを実装している企業は、正当なビジネス上の利益が不可欠であると感じている割合が高いことが分かりました。実装企業は、サステナビリティーにかける経費が収益に占める割合が比較的少ないものの、収益性や業績の向上を実感しています。
調査は、企業がサステナビリティーを真にビジネス戦略に組み込むことが必要であることを強調しています。具体的には、サステナビリティー経営に移行するためのリスクと機会を明確にし、それに基づいて行動を決定すること、また活動を積極的に社外に開示してステークホルダーとの対話を持つことが提案されています。これによって、社会的価値と経済的価値の両立が期待されています。
結論として、サステナビリティーを企業文化に根付かせるためには、戦略の再構築と人材育成が不可欠です。組織全体での共通のビジョンを持つことが、持続可能な成長への道を拓くのではないでしょうか。
会社情報
- 会社名
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日本アイ・ビー・エム株式会社
- 住所
- 東京都港区虎ノ門二丁目6番1号 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
- 電話番号
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03-6667-1111