新たな時代のデータ処理基盤
近年、生成AIやクラウドサービスの急成長によって、データの流通量が増加し、それに伴い電力消費も急上昇しています。この時代の波に乗るには、大量のデータを低遅延で無駄なく処理する方法が求められています。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進めるプロジェクトでは、光電融合技術と次世代分散データベースを活用した分散計算基盤の実証に成功しました。このプロジェクトは、高速処理、低消費電力、高可用性を実現するシステムの構築を目的としています。
プロジェクトの概要
プロジェクトは、AI時代におけるデータ処理の効率化と電力消費の抑制を両立させるべく、光によるデータ伝送を用いて、離れた計算資源を連動させる新しい分散コンピューティング基盤を開発しました。システムは、光チップ、光トランシーバ、光ネットワーク、分散データベースが統合されており、これまでにない効率的なデータ処理を可能にします。
本プロジェクトでは、400 Gbps×2波長の光トランシーバを試作し、フィールドでの伝送性能を実証しました。さらに、複数の拠点を結ぶ光ネットワークを通じて、データベース「Tsurugi」を使用し、低遅延かつ高可用なアプリケーションの動作も確認しました。
光通信技術の革新
このプロジェクトの心臓部には、InPとシリコンを組み合わせた異種材料集積技術が使われています。これにより、高速かつ低消費電力な光デバイスが実現し、波長を複数使用することで通信容量を拡大しました。また、多方路エラスティック光ネットワークが、新たな管理・制御フレームワークを利用して、通信経路や帯域の柔軟な切替を可能にしました。
分散データベース技術の進化
分散データベースの「Tsurugi」は、この光通信基盤の特性を最大限に活用したミドルウェアとして設計されています。後方互換性を保ちながら、さまざまな分野への応用が期待されています。具体的な用途としては、テレメトリクス解析、e-Science、金融決済など、多岐にわたります。
この技術によって、データベースは一か所に収集するのではなく、各地の計算資源を連携させて、大規模な計算基盤を形成することが可能になります。次世代の社会インフラとして、AI、遠隔医療、自動運転などの基盤技術としての実用化が進むと考えられます。
未来への展望
今後は、光チップやトランシーバなどの技術を活かし、データセンタや通信ネットワークの分野でのさらなる展開を目指します。特に、カーボンニュートラルの観点からも、より効率的にデータを処理できるシステムの確立が重要です。2023年における実証成果をもとに、より高性能で低消費電力な利用へ向け、開発が進められています。
このプロジェクトの成功は、次世代のAIを支える技術として期待されています。今後の進展に注目したいところです。