がん対策基本法成立から20年の歩み
2026年、私たちはがん対策基本法が成立してからの20年間を振り返る重要な時期に差し掛かっています。この節目を迎えるにあたり、国立がん研究センターが主催するHGPIセミナーでは、がん対策の進展と今後の課題について深く考察しました。今回の講演には、国立がん研究センターがん対策情報センターの副本部長、若尾文彦氏が登壇しました。
若尾文彦氏の講演内容
若尾氏は、2006年にがん情報サービスの立ち上げに寄与して以来、20年間にわたりがん治療の最前線で活動してこられました。セミナーでは、がん対策基本法成立から現在に至るまでの足跡を振り返るとともに、2026年に開催予定のがんに関する全国調査についても言及されました。この調査では、患者や市民1万人からの意見を集め、今後のがん対策を考える参考とします。
がん医療の進展と現状
この20年間、がん対策基本法のもとでさまざまな政策が実施されました。代表的なものには、がん診療連携拠点病院の整備や全国がん登録の開始、さらにはがんゲノム医療が保険適用を受けるなどがあります。しかし、これらは「始まったものの道半ば」とも言え、さらなる評価と改善が必要とされています。
2040年には生産年齢人口の減少が予測され、専門医の不足が問題となる中、がん医療の集約化と均整化が重要な政策課題として浮上しています。特に手術療法においては、2025年比で外科医の人数が約40%減少する見込みです。これを受けて、地域ごとの役割を明確にし、都道府県単位での議論を進めることが求められています。
第4期がん対策推進基本計画の取り組み
現在、第4期がん対策推進基本計画ではロジックモデルが導入され、データに基づく評価体系の整備が進められています。全国がん登録や院内がん登録、患者体験調査、遺族調査などの基準が整い始めていますが、依然として課題は多いです。特に、患者体験調査の参加率向上など、PDCAサイクルを支えるためのデータ基盤の強化が急務とされています。
市民の声と今後の方向性
日本医療政策機構が2026年2月に行った全国調査によると、医療機能の集約化に対する賛否が割れており、「賛成」が46.8%、「反対」が21.6%、「わからない」が31.6%となっています。3割強の市民が意見を固めていないことは、今後の制度設計において分かりやすい論点提示や、市民参加、世論調査を基にした継続的なモニタリングが不可欠であることを示しています。
持続可能ながん医療を目指して
持続可能ながん医療の実現には、医療機関の機能明確化、市民への情報提供、かかりつけ医による振り分け、また、地域移動の負担に対するサポートが重要です。これらはがんだけでなく、日本の医療制度全体に共通する課題です。今後も、国民が理解し合意形成を進めることが、持続可能ながん医療に向けた鍵となるでしょう。
まとめ
がん対策基本法成立から20年が経過した今、これまでの実績を振り返りつつ、次の20年に向けた課題を共有することが、今後必要不可欠です。日本医療政策機構は、引き続きがん対策に関する国民の世論を集約し、政策の進展に向けた貴重な提案を行っていきます。