身体と記憶の関係
2025-09-16 14:03:39

身体を触る行動が言葉探しを助ける新たな発見

自分の身体を触ることが言葉探しを助ける



最近、早稲田大学の研究チームが、自分の身体を触る行動が言葉探しにおいてどのように役立つかを明らかにしました。この研究は、人が言葉を思い出す際の「自己接触行動」が注意制御に寄与する可能性があることを示しています。

自己接触行動とは?


自己接触行動とは、自分の体の一部を触る行為を指し、無意識に行うことが多いです。例えば、顔に手を当てたり、髪を触ったりすることが含まれます。これまでこの行動は、ストレスや緊張を和らげるために行われるものと考えられてきました。今回の研究が注目したのは、こうした行動が言葉を思い出す過程にも影響を与えるという点です。

研究の背景と目的


早稲田大学人間科学学術院の関根准教授と研究グループは、成人を対象に言葉を思い出す際の行動のメカニズムを探るため、実験を行いました。具体的には、ことわざや四字熟語の定義を提示し、それに対する言葉を答える課題を設定しました。実験参加者には、自己接触行動を行うことが言葉を思い出す際の助けになるのかを検証することが目的でした。

実験の手法


研究チームは、実験条件を3つに分けて比較しました。1つ目は特に制限のない「統制条件」、2つ目は両手で頬を触る「自己接触条件」、3つ目は手を動かせなくする「抑制条件」です。実験中に、参加者が「のどまで出かかっている状態」に遭遇した際には、その旨を報告してもらうように指示しました。

結果


実験の結果、自己接触条件で課題に取り組んだ参加者は、他の条件に比べて正答数が有意に多いことがわかりました。これは、顔を触る行動が課題への集中を高め、言葉を思い出す助けとなっていることを示しています。また、実験中に自己接触行動が増加したことも観察され、これは特定の課題に対する注意を向けるための戦略的な役割を果たしている可能性があります。

社会的な意義と影響


この研究は、言葉を思い出す困難を抱える高齢者や失語症者への支援にも応用が期待されます。会話中に自己接触行動を取り入れることで、言葉が出にくい状況においても安心感を与え、コミュニケーションを促進することができるかもしれません。特に騒音や雑音が多い状況での効果が注目されています。

今後の展望


今後は、年齢や文化の違いによる効果の検証や、日常の会話における自己接触行動の影響を調査することが求められます。さらに、脳科学的な観点から自己接触行動と注意や記憶の関係を解明することで、この研究の社会的応用の可能性を広げることが期待されています。

研究者のコメント


関根准教授は、「言葉に詰まったとき、自然に身につく行動が言葉を思い出す手助けになることを証明しました。我々の身体が思考や表現にも重要な役割を果たしている現れです」と述べています。この知見を通じて、よりスムーズなコミュニケーションの実現を目指しています。


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