ハンセン病シンポジウム
2024-01-05 12:30:01
次世代へ伝えるハンセン病問題シンポジウムの意義と影響
未来に残すハンセン病問題の教訓
最近、「親と子のシンポジウム」と題するイベントが開催されました。本シンポジウムでは、ハンセン病という病気の歴史と現状、偏見と差別による影響についての理解を深める機会が提供されました。特に、次世代にわたる知識教育が重要視されています。
ハンセン病は「らい菌」の感染によって引き起こされる疾患で、感染力は弱いものの、過去には多くの偏見を生んできました。現在では、早期発見と適切な治療制度が確立され、患者は完治することが可能です。しかし、それでもなお、社会には根深い偏見と差別が残っているのが現実です。
基調講演:ハンセン病患者の声
シンポジウムの基調講演には、国立療養所の入所者自治会の会長である山岡𠮷夫さんが登壇しました。彼は、小学6年生でハンセン病を発症し、国の隔離政策によって療養所に入所せざるを得なかった自身の体験を語りました。病気に対する偏見から、彼は姓を変え、孤立した生活を送りました。長島愛生園から多磨全生園へ転園し、定時制高校を卒業するも、その間は病気について誰にも話せず、つらい「うそ」の生活を続けていたと言います。現在、彼は多磨全生園での高齢者との共生を目指し、ハンセン病問題に関する「人権の森」という構想に取り組んでいます。
トークショー:差別について考える
続いて、女優の横溝菜帆さんが登壇し、ハンセン病についての理解がほとんどなかった自分が、国立ハンセン病資料館を訪れた経験をシェアしました。そこで彼女は、多くの子供たちが療養所で隔離されている現実を知り、深い衝撃を受けました。彼女は、偏見や差別をなくすために学校での教育を提案し、正しい知識を広めることの重要性を説きました。
パネルディスカッション:現状の理解と行動
続いて行われたパネルディスカッションでは、様々な立場からハンセン病問題について議論が展開されました。元ヤングケアラーの町亞聖さんは、ハンセン病患者に対する偏見が未だに存在する現状を痛感し、声を届け続けることが使命だと述べました。その一方で、国立療養所の学芸員金貴粉さんは、入所者の高齢化が進む中で、偏見が社会全体の問題であることを強調しました。
ビデオメッセージ:人権と未来
シンポジウムでは多くのメッセージも紹介されました。ハンセン病に関する訴訟を行う原告団代表は、差別の根底にある無理解を訴え、感情的な経験を語りました。その中で、過去の政策によって家族と引き離された痛みを知ってもらうことが、未来に向けた大切な教訓であると述べました。
未解決の課題
このシンポジウムは、人権問題としてのハンセン病を考える重要な場でした。ハンセン病に対する偏見を減らし、情報を次世代に正しく伝えていくことは、現在を生きる私たちの責任です。全ての人がこの問題に関心を持ち、理解を深めることで、未来に向かって努力していく必要があります。
このシンポジウムの情報は、YouTubeの[人権チャンネル]でも公開されており、視聴することが可能です。人権の観点から考えることは、私たち一人ひとりに与えられた義務です。意識を高め、仲間と共に行動することが求められています。
会社情報
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公益財団法人人権教育啓発推進センター
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- 東京都港区芝大門2-10-12KDX芝大門ビル4F
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