「遠い窓へ日本の新進作家 vol. 22」展の魅力
東京都写真美術館が30周年を迎え、その記念として「遠い窓へ日本の新進作家 vol. 22」という展覧会が開催されます。この展覧会は、写真と映像の可能性を探求し、将来有望な作家を支援することを目的に始まりました。このシリーズは、2002年から毎年開催されており、今年で22回目を迎えます。
展覧会のテーマ
本展は、現在の社会で求められている多様性とインクルーシブ性に光を当て、異なる価値観を持つ人々とのコミュニケーションを大切にしています。今回のテーマは「窓」で、これは他者の存在を感じるシンボルとして、また作家の作品が観る者を異なる時間や場所へと導く象徴でもあります。
展覧会では、5名の新進作家がそれぞれの視点から「小さな物語」を表現しており、観覧者が作品に触れることで、多様な視点や価値観について考えるきっかけを提供します。
出品作家とその作品
寺田健人
寺田作品は、社会的な枠組みやジェンダーを問い直す試みがなされており、《Famiry Box》では想像上の家族との関係を探求しています。
スクリプカリウ落合安奈
日本とルーマニアの二つの文化を背景に持つスクリプカリウの作品《ひ か り の う つ わ》は、土地と人の結びつきを浮かび上がらせ、見る者に深い思考を促します。
甫木元空
映画、音楽、小説など多岐にわたって活動する甫木は、家族の生と死をテーマにした作品で、記憶を観る者と共有します。特に2023年の《窓外》は注目です。
岡ともみ
日本各地の死にまつわる風習をテーマにした《サカサゴト》では、古い時計に個人の記憶を閉じ込めることで、多層的な物語を展開しています。
呉夏枝
オーストラリア移民の歴史を掘り下げた作品を新たに展示し、日本初公開のシリーズ《Seabird Habitatscape》では記憶の重要性について考察します。
付随事業
展覧会期間中には、作家同士のトークセッションや映像上映、ギャラリートーク等のイベントが行われます。例えば、10月19日にはスクリプカリウと岡によるディスカッションが予定されており、12月には少人数での観覧会も開催されます。特に、聴覚障害者向けのワークショップや鑑賞会も設けられ、誰でも楽しめる環境が整っています。
開催概要
「遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22」は2025年9月30日から2025年1月7日まで、東京都写真美術館の3階展示室で開催されます。一般入場料は700円で、中高生は350円、さらに中学生以下や障害者手帳を持つ方は無料となっています。加えて、オンラインでチケットの購入も可能です。
この展覧会では、現代社会における共生や対話の重要性を考える機会が提供されます。ぜひ足を運び、5名の作家の魅力あふれる作品を体感してみてはいかがでしょうか。