米卸業界の危機
2025-06-11 17:03:13

米卸業界の現状と未来:小規模企業の危機と課題

日本の食卓を支える米卸業界は、全国に1822社が存在しています。このデータに基づくと、企業の売上規模はさまざまで、特に「1~5億円未満」の企業が693社(約38%)を占めています。一方で、売上1億円未満の企業も555社(30.5%)を抱えており、小規模企業が半数近くを占めるという実態が明らかになりました。全体の75%は1~5人ほどの従業員を持つ企業であり、小規模企業が多く存在していることから、資金繰りや在庫管理に関するリスクが高まりつつあります。

最近の米の高騰と品薄状態は、消費者や外食産業に深刻な影響を与えており、政府も備蓄米の放出を行うなどして市場の安定化を図ろうとしています。しかし、卸売業者が数多くの中間業者を介して流通を行うため、その結果として価格も高騰しており、改善の必要性が高いという声も多くあります。

過去には2004年の食糧法改正によって流通の自由化が進みましたが、それに伴う競争の激化は、業者が高付加価値化や効率化を図ることを強いられる結果となっています。478社は「米穀類小売業」と兼業しており、全体の約26.2%が小売業務にも携わっています。例えば、農家へのノウハウ提供や無洗米製造の強化など、それぞれの企業が特色ある戦略を打ち出しています。

また、米卸業界の平均代表者年齢は63.6歳で、特に高齢化が進んでいます。「60代以上」の代表者が全体の64.4%を占めており、後継者不足が深刻な問題です。多くの小規模企業では、既存の得意先からのオーダーが減少し、特に小規模な卸売り業者は米が回ってこない現状が見られます。これに対し、食品業界全体における安定供給のためには、行政と連携した環境づくりが不可欠です。

加えて、収穫量や流通量が豊富な地域に企業が多く集中している点も注目です。兵庫県や東京都、新潟県など、農業が盛んな地域には多くの卸業者が活動していますが、これらの地域の特性を活かした取り組みも求められます。

政府は今年度の新米や輸入米も考慮しながら、価格の安定化を図る努力を続けていますが、小規模企業の生存を脅かす要因が数多く残されていることに注意が必要です。仮に供給不足が解消されても、国内消費の減少や農業従事者の高齢化は依然として大きな課題で、業界全体が持続的に発展していくためには各社との連携がカギを握ると言えるでしょう。


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