農商工連携の新たな試み「共創の日2019」シンポジウム
12月17日、東京のヒューリックホールで開催された「共創の日2019」シンポジウムでは、農林漁業と商工業の枠を超えた取り組み が注目を集めました。このシンポジウムは、各業種が連携し地域産業を盛り上げる手法を学ぶ場として設けられました。
開会に際し、全国商工会連合会の森義久会長が挨拶し、次いで牧原秀樹経済産業副大臣、河野義博農林水産大臣政務官、山本幸三衆議院議員が来賓挨拶を行いました。その後、地域創生に向けた新しいアイディアについて、株式会社スノーピーク地方創生コンサルティングの後藤健市氏が基調講演を行い、農商工等連携の現場から実際の成功事例を紹介しました。
地域創生のアイディアを発信
後藤氏の講演では、「野遊び美食」として知られる飲食や観光が地域活性化の重要な役割を果たすというメッセージが強調されました。彼は興味を引く体験への投資が地域にとっての宝であるとし、失敗を恐れるあまりチャレンジしないことが日本の重要な課題であると述べました。「成功を目指して行動を続けることが、地域にとっての進化につながる」と語り、多くの参加者にインスピレーションを与えました。
実践的なモデル事例の紹介
シンポジウムでは、農商工連携を実践している5つの団体の代表者がそれぞれの事例を発表しました。
- - えだ豆の地域ブランド戦略: 秋田なまはげ農業協同組合の長谷川氏は、転作作物としての枝豆を6次産業化するプロジェクトの成功事例を披露しました。商工会との連携により、全国一の生産量に達したと報告。
- - やまが炭の生産販売: 米沢地方森林組合の四柳氏は、廃棄残材を再利用する取り組みを紹介。地域ブランドの強化に向けた活動が評価され、さらなる販路拡大を目指しています。
- - 明石のりのプロモーション: 明石市漁業組合連合会の戎本氏は、明石のりの販路拡大を目的としたキャンペーンにおける教育機関との連携を強調し、若者の興味を引く取り組みについて語りました。
- - 真田REDアップルの地域連携: 上田商工会議所の唐澤氏は、地域ブランドを活用した新商品の開発と販路開拓について詳細を説明しました。
- - 遠賀の雫の開発: 遠賀町商工会の牛濱氏は、地域の酒米を用いて開発した日本酒『遠賀の雫』のプロセスと、他の特産品とともにブランド化する試みを語りました。
パネルディスカッションで深まる理解
最後には、東京農業大学の大浦教授のコーディネートによるパネルディスカッションが行われ、各発表者が自身の事例とその成果についてディスカッションを展開しました。特に、連携することで得られるメリットや課題、今後の展望を具体的に共有する機会となりました。
共創の理念を広める「共創の日」
「共創の日」は、農商工の連携によって新しい特産品の開発を促進し、地域産業の活性化を目的としたイベントであり、参加者たちが全国各地から集まることで、共に創り上げる新しい未来を目指しています。これからの地方創生に向けた大きな一歩となったこのシンポジウムは、さまざまな業種が手を組むことで、地域を元気にする可能性を再認識させてくれる場でした。