ispace、新たな月面探査ミッションに向けた述延
民間月面探査プログラムの進展
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史)は、宇宙の日にあたる本日、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2の打ち上げを最速2024年12月に設定すると発表しました。今回の発表は、茨城県つくば市にある筑波宇宙センターで行われた記者発表会にて、現在開発中のRESILIENCEランダーの進捗が報告される中で行われました。
ミッション2の主な目標は、前回のミッション1で得られた成果を基に、未来の月面輸送とデータサービスの事業モデルを強化することです。スローガンである“Landing and Beyond”に込められた意味は、月面着陸からさらなる探査へとつながる道筋を示しています。さらに、ispaceが見据える中長期的なシスルナ経済圏の構築に向けた重要な一歩として、自社開発のTENACIOUSローバーを使用して資源探査の取り組みを開始します。
RESILIENCEランダーの開発
RESILIENCEランダーは、JAXAの筑波宇宙センターでの地上試験を順調に進めており、2024年5月にはFlight Modelの各種試験も通過しています。ミッション1で得たデータや知見を活かし、ソフトウェアの改良や着陸シミュレーションの範囲拡大を図ることで、ミッションの精度向上に努力しています。
特に注目されるのは、欧州法人であるispace EUROPE S.Aが開発したTENACIOUSローバーが、既に日本に輸送され、RESILIENCEランダーのペイロードベイに格納されている点です。これにより、最終試験フェーズを経た後、アメリカのフロリダ州への輸送が行われる予定です。
ミッション2の着陸予定地
ミッション2の着陸予定地は、月の「Mare Frigoris」(寒さ・氷の海)の中央付近とされ、飛行経路上の地形を注意深く検証して平坦な場所を選定したとのこと。着陸後は、TENACIOUSローバーを利用して月のレゴリスを採取し、その成果をNASAに譲渡する月資源商取引プログラムが実施されるため、多くの期待が寄せられています。
ミッションペイロードについて
今回のミッション2では、いくつかのペイロードも同時に輸送されます。以下はその一部です:
- - 高砂熱学工業が開発した月面用水電解装置
- - 株式会社ユーグレナの自己完結型モジュール
- - 深宇宙放射線プローブ(台湾国立中央大学開発)
- - バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
- - ispace EUROPEのマイクロローバー
新たに、スウェーデンのアーティスト、ミカエル・ゲンバーグ氏のムーンハウスプロジェクトも加わり、月に新しいアートが展開されることが期待されています。
代表取締役のコメント
ispaceの代表取締役CEO、袴田武史は、今回の発表に際し「ミッション2の打ち上げ日が2024年12月に決まり、再挑戦へのカウントダウンが始まります」と語り、ミッション1での経験を糧に、さらなる挑戦へと歩みを進める決意を示しました。
まとめ
ispaceの月面探査に対する熱意と具体的な進展が、今後の宇宙事業に新たな希望をもたらすことは間違いありません。2024年12月の打ち上げに向けた準備が着々と進められていく中で、期待が高まります。argus