JOYCLEとKDDIによる災害対応型インフラの実証
株式会社JOYCLEは、KDDIが提供する衛星通信サービス「Starlink Business」を用いて、災害時や交通アクセスが限られた地域でも機能できる小型アップサイクルプラント「JOYCLE BOX」の実証を行うことを発表しました。このプロジェクトは、東京都の「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project)」の一環で、2024年度から2025年度にかけて進められます。
Starlinkとは
Starlinkは、アメリカのSpaceX社が展開している衛星インターネットサービスであり、高速かつ低遅延の通信が可能です。地上の専用アンテナを介して接続されるため、山間部や離島、災害地域など、従来の通信インフラが届かない場所でも利用が可能です。このシステムは、世界中で「基地局に依存しない通信インフラ」として注目されています。KDDIは、国内初のStarlinkインテグレーターとして、法人や自治体向けにこのサービスを提供しています。
JOYCLE BOXについて
JOYCLE BOXは、さまざまな燃えるごみを資源化できる小型のプラントです。この新しい概念は、廃棄物を遠方の焼却場に運ぶのではなく、その場で処理することを可能にします。これにより、コスト上昇を防ぎ、ドライバー不足や長距離輸送による労働環境の問題も解決できることが期待されています。このプラントは、避難所や自治体、さらには発展途上国やリゾート地でも利用できます。
実証実験の進捗
1年目の2024年度には、StarlinkとJOYCLE BOXを連携させ、処理データの収集に成功しました。このデータはクラウドに送信され、インターネット回線が整っていない地域でも「処理プロセスの可視化」や「遠隔監視」が可能であることが示されました。
2025年度に向けては、東京都内外の離島での社会実装を目指しています。南方離島では、焼却炉の常設が難しいため、船で廃棄物が運ばれることが多いのですが、StarlinkとJOYCLE BOXのユニットを設置することで、現地での処理が可能になります。
新たなインフラモデルの提案
このプロジェクトは、従来の「廃棄物を遠くに運ぶ」という方法から、「廃棄物を運ばず、資源化する」という新しい発想に基づいています。特に災害時には、簡易トイレやおむつなど、輸送が難しい廃棄物をその場で処理し、稼働状況をStarlinkを通じて監視することができます。この新しいインフラは、防災や環境への貢献だけでなく、経済的なメリットも提供することが期待されています。
社会実装の展望
今後、JOYCLE BOXは避難所や災害拠点、発展途上国での持続可能な廃棄物処理に貢献することを目指します。また、排出データをもとにカーボンクレジットの申請や環境評価の高度化にも取り組む予定です。
このプロジェクトに関して、代表の小柳裕太郎氏は「防災・環境・経済の3課題に同時にアプローチする防災アップサイクルインフラは日本国内でも初めての試みです。私たちは、この技術を通じて、世界中の災害復興にも貢献したいと考えています」とコメントしています。
JOYCLEについて
JOYCLEは「資源と喜びの循環」を理念に、通信インフラと再生可能エネルギー、資源循環を融合した新しい形の分散インフラの実装を目指しています。小型アップサイクルプラントを中心にしたこのモデルは、既存の制約を超えた持続可能な社会の実現を推進しています。詳細な情報は公式サイト(
JOYCLE公式サイト)で確認できます。