『BUTTER』がイギリスの名誉ある賞を受賞
日本の作家・柚木麻子さんが書いた長編小説『BUTTER』が、2025 British Book Awards (Nibbies)のDebut Fiction部門で受賞の栄冠に輝きました。この受賞は、国内外でも注目を浴びる彼女の作品が、どれほどの影響力を持つかを示すものです。
『BUTTER』の背景と内容
『BUTTER』は、男たちの財産を奪い、殺害した容疑で拘置所に入れられているカジマナこと梶井真奈子の物語です。彼女の行動の背後には、女性の生きづらさやフェミニズムに対する問題提起があり、作中で語られる美食とミステリーが絶妙に絡み合っています。物語を追う週刊誌記者の町田里佳は、彼女との面会を重ねるうちに、価値観や人生観の変化に直面することになります。
また、作中では、現代の男性優位社会やルッキズム、労働環境に対する疑問が描かれており、すべての人々が自分自身を大切にしながら連帯することの意義が強調されています。読者はこの作品を通じて、自己を見つめなおすきっかけを得ることができるでしょう。
国際的な成功を収める
『BUTTER』は、日本国内でも30万部以上を販売し、長期にわたって支持されています。その成果の一部は、Polly Barton氏による翻訳を通じて2024年2月にイギリスでの刊行が実現したことに起因しています。翻訳後、作品はイギリスで40万部、アメリカでも10万部以上を売上げるベストセラーとなりました。
昨年11月、イギリスの書店から選ばれる「Books Are My Bag Readers Award」の「Breakthrough award category」でも受賞し、さらに大手書店チェーンのWaterstonesから「Book of the Year 2024」にも選ばれる快挙を成し遂げました。このように、国際的な関心を集める作品として、数多くの言語に翻訳され、現在では36カ国での出版が決定しています。
著者・柚木麻子のプロフィール
柚木麻子さんは1981年に東京で生まれ、2008年にデビューを果たしました。『BUTTER』以外にも、『ナイルパーチの女子会』や『私にふさわしいホテル』など、社会問題を扱った作品を多く発表しています。その才能は、受賞歴からも明らかで、2015年には山本周五郎賞も受賞しています。
著者が述べるように、「大変光栄です。この作品を素晴らしい形で翻訳してくださったポリー・バートンさん、4th Estateの皆さま、書店の皆さま、そして読者の皆さまに心よりお礼申し上げます」との言葉からも、彼女の謙虚さと読者への感謝の気持ちが伝わります。
まとめ
『BUTTER』は、ただの小説ではなく、現代社会における女性の生き方を問い直す重要な作品です。柚木麻子さんが描くこの物語が、今後ますます多くの人々に影響を与えることを期待しています。国際的な文脈においても、前向きに考えるきっかけとなるかもしれません。