職場ハラスメントの実態
2022-11-18 10:10:01
日本の職場ハラスメントの実態:86.5万人がハラスメントで離職、その半数は会社に報告せず
日本の職場ハラスメントの実態:深刻な暗数と成長阻害
パーソル総合研究所が発表した調査結果によると、2021年のハラスメントを理由とした離職者数は約86万5000人に上り、その約半数にあたる57万3000人が会社に報告されないままとなっていることが明らかになりました。これは、氷山の一角に過ぎず、多くのハラスメントが企業の把握から漏れていることを示しています。
具体的なハラスメントの実態
調査では、全就業者の34.6%が過去に職場でハラスメント被害を経験していると回答。最も多かった被害内容は「仕事への批判や言葉による攻撃」で、65.1%を占めました。その他、「乱暴な言葉遣いでの命令・叱責」「小さなミスへの過剰な罰則」なども高い割合を占めています。
企業の対応と被害者の行動
被害者が認識したハラスメントに対し、会社側が対応に至ったのはわずか17.6%。残りの82.4%は未対応です。対応に至ったケースでも、「要望を聞いた」「事実確認のヒアリングを行った」といった対応にとどまり、根本的な解決には至っていないケースも多いと考えられます。
さらに、被害者自身の対応は「特に何もしなかった」が4分の1を占めており、周囲の目撃者も4割が傍観していました。ハラスメントは、被害者だけでなく、周囲の沈黙も助長する深刻な問題であると言えます。
属人思考と相談無力感
調査では、会議での発言の採択が提案者によって左右されたり、トラブルの原因究明よりも責任の追及が優先されるなど、属人思考の強い組織ほどハラスメントが発生しやすい傾向が示されました。また、相談しても無駄だと感じる「相談無力感」も高いことも判明しました。
上司の回避的マネジメント
上司の多くはハラスメントを回避しようと、飲み会やランチへの誘いを避けたり、ミスへの叱責を控える傾向が見られました。しかし、こうした回避的なマネジメントは、上司と部下の心理的な距離感を生み、部下の成長を実感できなくさせている可能性も示唆されています。
ハラスメント対策の課題
現状のハラスメント対策は「防衛的」な側面が強く、根本的な解決には至っていません。企業は、属人思考の是正や、部下の話を丁寧に聞き取る「傾聴行動」を促進するなど、より「育成志向」のハラスメント対策を講じる必要があります。対話的なコミュニケーションを促すマネジメント研修や、相談しやすい職場環境の整備も不可欠です。
まとめ
この調査結果は、日本の職場におけるハラスメント問題の深刻さを改めて浮き彫りにしました。企業は、単なるハラスメントの予防だけでなく、社員の成長を促すような職場環境づくりに取り組むことが重要です。ハラスメント問題は、企業の生産性や従業員の幸福度にも大きく影響するため、早急な対策が求められます。
会社情報
- 会社名
-
株式会社パーソル総合研究所
- 住所
- 東京都港区南青山一丁目15番5号パーソル南青山ビル
- 電話番号
-