株式会社Azoopは、運送事業者を対象に実施した「実運送体制管理簿」運用実態調査の結果を発表しました。この制度は、運送業界の多重下請け構造を可視化し、長時間労働やドライバー不足といった問題を解決するために導入されたものです。調査に参加した100社の運送事業者に対し、実施されたアンケートでは、制度の認知度が96%に達する一方、実際に運行データを提出した企業はわずか21.1%にとどまることが明らかになっています。義務化から半年経過した現在、認知はされているものの、現場での実運用には至っていない事実が浮き彫りとなりました。
株式会社Azoopは、実運送体制管理簿の義務化によって注目されている運送業界の動向を把握するために調査を実施しました。2025年4月から新制度が本格施行される予定で、それに先立って、運送事業者の実行体制を明らかにするための調査が行われました。実運送体制管理簿は、荷主から依頼された運送の流れを明確に記録し、下請け問題などの解決を目指しています。
調査の結果、多くの運送事業者が情報共有の不足や付随する事務作業の増加に直面している状況がわかりました。約6割の企業が、依頼元からの必要な情報を十分に受け取れていないと回答しており、運送業界全体での情報の流れが不足していることが課題の一因とされています。さらに、運送業務の見直しや構造改革に対する期待感があるにもかかわらず、多重下請け構造は十分に解消されていないと感じる企業が60%に達しており、制度の目的と現状には大きな隔たりがあることも明らかになりました。
Azoopの調査には、小規模から大規模な運送事業者が参加しており、業界内の多様な状況が反映されています。特に、運送業界特有の多重下請け構造が影響を与えており、元請け企業からの情報提供が不十分であることが、実運送体制管理簿の提出を阻む障害となっていることが示されています。調査に参加した事業者の一部は制度について「事務作業が増えるだけ」という懸念も抱いています。
こうした課題に対しては、元請けから下請けへの情報共有を円滑にする方法を模索し、制度の運用プロセスを簡素化していくことが求められています。また、Azoopは運送業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する「トラッカーズマネージャー」というサービスを提供しており、運送会社が簡単に実運送体制管理簿を作成できる仕組みを導入しています。このサービスを活用することで、運送会社の業務負担を軽減し、制度の浸透を加速させることができると期待されます。
今回の調査結果は、運送業界における実運送体制管理簿の運用現状とそれが抱える課題を浮き彫りにしました。運送業界のより良い未来に向けて、業界全体での協力が求められています。