地方企業のための留学生就職支援の新たな課題と解決策

留学生の就業意欲と企業採用の現状

近年、外国人留学生の数は増加傾向にあり、彼らの就職支援に関するニーズも高まっています。2024年8月から9月にかけて実施されたアンケートにおいて、85名の学校の就職支援担当者に対し、留学生の就業意欲や就職活動の傾向が調査されました。その結果、多くの留学生が地元企業よりも都市部の企業への就業を選好する傾向が浮かび上がりました。

留学生の地域企業への就職意欲

調査によると、留学生の41.7%が地元企業への就業意欲が東京の企業より低いと回答しています。これに対し、留学生向けの地元企業の求人票数が前年よりも増加しているとの結果も出ており、この両者の間にギャップが存在します。この状況は、留学生が自分に重大なキャリアを築く機会を見出せず、むしろ都市部に魅力を感じる要因となっている可能性があります。

求人情報と留学生希望条件の不一致

留学生に関連する就職支援担当者の悩みの一つは、「求人情報と留学生の希望条件がマッチしない」という点です。この悩みは全体の35.7%の担当者から挙げられており、企業が留学生に対して求める条件と留学生自身の希望条件が常に合致しているわけではないことを示しています。特に、企業が求める日本語能力のレベルが高いため、多くの留学生はこの条件をクリアすることができずに採用の機会を逃しています。

日本語要件の緩和を求める声

アンケートの結果、52.9%の担当者が企業に対し「語学要件（日本語レベル）を緩和してほしい」との要望を寄せました。言語能力の障壁は、優れた専門性を持つ留学生が日本の職場において十分に活かされない大きな要因となっています。留学生には、専門性や多様な視点を持つ人材も多く、これらの能力を評価してもらうための基準変更が期待されています。

山梨大学の取り組み

こうした課題を踏まえ、山梨大学国際化推進センターでは、地域の産学官連携を通じて独自の留学生就職支援プログラムを実施しています。このプログラムでは、留学生向けに日本語教育やキャリア教育、企業理解教育を行い、地域企業への就職を促進しています。特に、英語コースの留学生でも日本語力が不足しているため、就業時に言語能力で評価されずに成果を出すチャンスを得られないことが懸念されています。