新潮ミステリー大賞受賞作『彼女の終幕』の魅力
2023年8月5日、道尾秀介さんと湊かなえさんを選考委員に迎えた第十二回新潮ミステリー大賞の選考会が行われ、九能式尚さんの『彼女の終幕』が見事に優秀賞を受賞しました。この結果は、同賞が開催された当初から注目されてきた新進気鋭の作家たちにまたひとつ、名誉と可能性を与えるものでした。この賞は、2014年のスタート以来、日本推理サスペンス大賞などの伝統を受け継ぐ形で、常に新しい才能を輩出してきました。
受賞作の背景と評価
今年の選考会では、全応募作168篇の中から、九能式尚さんの作品が選ばれました。選考委員の湊かなえさんは、「非常に分量の多い作品だったが、一気に読み進めさせられた。読後には『わが人生に一片の悔いなし』というラオウの姿が思い浮かぶ、力強い作品」と絶賛。道尾秀介さんも、「物語に込められた強烈なメッセージが、著者の声として伝わってきた」と評価を寄せています。この二人の意見が一致し、「この作品を世に出さないわけにはいかない」として、優秀賞が決まりました。
受賞した『彼女の終幕』は、来春に単行本として発売予定で、贈賞式もそのタイミングで行われる予定です。今後の展開にも血道が注がれるところです。
作品概要とあらすじ
『彼女の終幕』は、K大教授の月形源一郎が主催する孤島での催眠実験に参加する大学生の物語です。主人公は友人のキリカと共に、閉ざされた館で被験者12名と共に4日間過ごします。しかし、実験初日に第一の殺人事件が発生。厳重なセキュリティの中で、犯人はどのようにしてこの凶行を実行したのか?聴覚障害を持つキリカが探偵として名乗りを上げる中、主人公は思わぬアクシデントで意識を失ってしまいます。
この緊迫感のあるストーリー展開は、作品全体を通して読者の心をつかむこと必至です。どのようにして事件が解決されるのか、そしてその背後にある人間ドラマにご期待ください。
選考理由
新潮ミステリー大賞の受賞作には、常に独特の視点やテーマが求められますが、九能式尚さんの作品はその両方を兼ね備えています。「故意の音楽が降ってきた」という展開は、心理的な緊迫感を引き立て、読者に強い印象を残します。作中にあるサスペンス要素や、個々のキャラクターが持つ背景にも工夫が凝らされており、単なる娯楽作品にとどまらない深みがあります。
今後の展望
受賞作である『彼女の終幕』がどのような展開を見せるか、そしてそれがどのように映像化されるのか、多くの読者が期待を寄せています。ユニークなストーリー展開と深いテーマが詰まったこの作品は、今後の文壇でますます注目されることになることでしょう。新鋭作家の今後の活躍に目が離せません。