ENEOS、テキサスでのCCUSプロジェクトで500万トンのCO₂を回収達成
ENEOSの連結子会社、Petra Nova Parish Holdings LLCが運営するCCUSプロジェクトが、米国テキサス州で累計500万トンの二酸化炭素(CO₂)を回収したことを発表しました。このプロジェクトは、環境問題に貢献するための重要な取り組みの一環として位置づけられています。
プロジェクトの概要
Petra Nova CCUSプロジェクトは、テキサス州のNRG社が運営するW.A.パリッシュ火力発電所から排出される石炭燃焼後の排ガスからCO₂を分離して回収するものです。回収されたCO₂は、ウェスト・ランチ油田にパイプラインで輸送され、地下に圧入されます。このプロセスによって、CO₂の貯留とともに原油の増産も実現しています。
このCCUSプロジェクトは、2017年に商業運転を開始し、世界最大規模のCO₂回収プラントを誇っています。年間で約140万トンのCO₂を回収でき、これは約120万台の自動車が1年間に排出するCO₂量に匹敵します。このような規模のCO₂回収は、世界的にも数少ない成功例であり、ENEOSはこの分野でのトップランナーといえます。
環境への影響と今後の展望
この成果により、回収されたCO₂は徹底したモニタリングのもと、地下1600メートルの油田内に安定的に貯留されていることが確認されています。ENEOSグループは、2040年度までに全体のカーボンニュートラルを目指し、CCUSを重要な手段として位置付けています。
現在、世界中でCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)またはCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の取り組みが進んでいますが、大規模なCO₂回収実績を持つ企業は限られています。このような中で、ENEOSは持続可能な社会の実現に向けて重要な技術を提供しています。
まとめ
ENEOSのPetra Nova CCUSプロジェクトは、温室効果ガスの抑制に貢献しており、カーボンニュートラル社会の実現に向けた大きな一歩となっています。今後もCO₂の分離、回収、輸送、圧入といったCCUS事業全体のバリューチェーンに関する知見を活用し、環境問題への取り組みを続けていくことが期待されます。本プロジェクトはまさに、地球環境の未来に向けた模範的な事例と言えそうです。