国産ラムの新たな時代を切り開く「ONERUM」
創業1848年の老舗酒造、瑞穂酒造(沖縄県那覇市)が立ち上げたラム造りプロジェクト「ONERUM(ワンラム)」が、大きな成果を収めました。同プロジェクトのリーダーである仲里彬氏が、令和6年度洋酒技術研究会総会にて、第12回洋酒技術研究会賞を受賞したのです。
この賞は、国内の洋酒酒造業界において最も権威ある賞の一つとして知られており、ONERUMプロジェクトが開発してきた技術革新と、沖縄のさとうきびや黒糖を活かしたラム造りが高く評価された証といえます。
独自技術と沖縄の素材が織りなすラムの芸術
ONERUMプロジェクトでは、ラム造りの常識を覆す革新的な技術を開発しています。
まず、ラムの製造に欠かせない酵母について、市販の外国産酵母に頼るのではなく、自社でラム造りに適した酵母を新たに発見し、「ONERUM酵母」として名付けました。この酵母は、フルーティな香りを生み出すユニークな特徴を持ち、ラムに豊かな香りを与えています。
さらに、伝統的なジャマイカのラム造りで用いられる「ダンダー仕込み製法」を、国内で初めて確立しました。この製法は、蒸留後の廃液(ダンダー)を次の仕込みに再利用することで、循環型製造を実現し、環境負荷を軽減します。同時に、ダンダーに含まれる微生物の働きによって、複雑で奥深い味わいを生み出す効果も期待できます。
沖縄の離島をラムで活性化!
ONERUMプロジェクトでは、これらの技術革新に加え、沖縄の離島8島で生産される黒糖に着目し、それぞれの島の風土や黒糖の個性を生かした8種類のラムを商品化しました。
これにより、過剰在庫を抱えていた離島の黒糖産業の活性化に貢献するとともに、ラムを通して沖縄の多様な魅力を世界に発信しています。
未来への展望:ラムの聖地「沖縄」
ONERUMプロジェクトは、単なるラム造りにとどまらず、沖縄のさとうきび産業の未来を創造することを目指しています。
今後、沖縄本島で自社栽培したさとうきびを使ったラムの開発や、ワインのように産地や品種の違いを楽しむ「テロワール」を表現したラムの展開など、さらなる挑戦を続けていく予定です。
「ONERUM」は、革新的な技術と沖縄の豊かな自然を融合させ、世界に誇れるラムを生み出し、沖縄をラムの聖地へと導く可能性を秘めています。