日本二酸化塩素工業会の新しいJSA規格
一般社団法人日本二酸化塩素工業会が、二酸化塩素ガス製品による浮遊ウイルスの低減性能を評価するための規格「JSA-S1021」を発表しました。この新規格は2025年9月1日に一般財団法人日本規格協会(JSA)から公式に発行され、消費者が製品の選択を行う上での一助となります。
規格の概要と目的
新規格であるJSA-S1021は、換気の少ない半密閉空間内で使用される二酸化塩素ガス製品の性能を測定するためのものです。具体的には、密閉試験の大形チャンバー内で二酸化塩素ガスを放出し、その後、ウイルスを噴霧して感染性のあるウイルス数を測定します。この結果、二酸化塩素ガスと作用させない対照試験と比較して99%以上の低減効果が確認された場合、その製品は有効であると判断されます。
このように本規格によって、二酸化塩素ガス製品の性能が明確に測定され、消費者が信頼性の高い情報に基づいて製品を選択できる環境が整いました。さらに「適合マーク」制度が開始されることで、消費者は基準に適合した商品を一目で識別できるようになります。
背景にある課題
二酸化塩素ガス製品については、2021年から2024年までの間に、複数の販売事業者に対して消費者庁が景品表示法違反に基づく措置命令を出す事態が発生しました。これまで販売事業者各自が独自に試験方法を設定しており、その結果、評価基準が統一されていなかったため、消費者が製品の品質や性能を比較するのが難しい状況が続いていました。
このような背景を受けて、新しい規格が必要とされるようになりました。業界が共同で性能測定のための共通の試験方法を策定し、製品の信頼性向上を図ることで、消費者が安心して選べる環境を作ることが目的とされています。
専門家のコメント
規格の策定においては、熊本大学の三隅将吾教授を筆頭に、さまざまな専門家とともに検討が行われました。三隅教授は「本規格は実用性の高いものが求められ、科学的な根拠に基づく情報が必要である」と強調しています。また、社会への丁寧かつ継続的な情報発信を通じて、二酸化塩素の重要性とその効果を広めることが期待されています。
今後の展望
規格が発行されたことで、二酸化塩素ガス製品の性能を客観的に測定する手段が確立されました。これにより、消費者はより透明性のある情報に基づいて製品を選ぶことが可能になり、業界全体の品質向上にも寄与することが期待されています。
この規格と適合マーク制度の普及において、日本二酸化塩素工業会は今後も積極的に情報提供を行い、二酸化塩素製品の適切な使用や衛生対策の重要性を訴え続けることで、社会全体の衛生環境の改善に貢献していく所存です。
JSA規格について
一般財団法人日本規格協会が発行するJSA規格は、製品やサービス、試験方法、管理方法などにおける国内基準を定めるもので、科学的・技術的な根拠に基づいて策定されています。本規格の導入により、今後の二酸化塩素製品の市場展開がさらに促進されることが期待されます。
このように、JSA-S1021の発表は、二酸化塩素製品に関する新たな道を切り開く重要な一歩となりました。