沖縄県うるま市、モズクの新たな挑戦
沖縄県のうるま市が、勝連漁業協同組合およびTOPPANデジタル株式会社と協力し、国内で初めてモズクのブルーカーボン・クレジット認証を取得しました。このプロジェクトは、2021年9月から始まり、市内の環境保全と持続可能な漁業を実現するためのものです。
モズクの生産状況
沖縄県のモズク生産は、全国の約90%を占め、その大半がうるま市勝連地域で生産されています。しかし、近年は少子高齢化による労働力不足や気候変動の影響で安定した生産が難しくなっています。特に、2021年には海底火山の噴火による軽石が養殖場に多大な影響を及ぼしました。
このような課題を乗り越えるために、うるま市、勝連漁協、TOPPANデジタルは、三者で協力し、モズクの藻場保全と養殖技術の向上を目指していました。その結果、今回モズクの藻場におけるCO2吸収が評価され、21.7トンのCO2が認証されたのです。
Jブルークレジットの意義
今回取得された「Jブルークレジット」は、日本国内で初のモズクを対象としたもので、環境保全や持続可能な漁業の重要性を広めることにもつながります。特に、今後はこの収入を基にして、藻場の保全活動や漁業者の支援策を強化し、地域の子どもたちへの環境教育を進める方針です。
このクレジットは、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)によって認証が行われ、気候変動対策の一環として注目を集めています。ブルーカーボンとは海藻がCO2を吸収し長期間にわたり貯留するもので、その認証制度は今後の脱炭素社会の実現に向けた重要な手段となっています。
取り組みの背景と各者の役割
うるま市の取り組み
うるま市では、環境基本計画に基づき地球温暖化対策を推進し、モズクの魅力を発信しています。地元の食育活動にモズクを取り入れ、教育機関と連携を図ることで、地域全体での環境意識の向上に努めています。
勝連漁協の活動
勝連漁協は、2021年に発生した軽石による被害を最小限に抑えるために共同で除去作業を実施しました。また、天然のモズク生産を推進し、環境への負荷を低減しながら安定した生産を達成しています。
TOPPANデジタルの役割
TOPPANデジタルは、モズクの生産をデジタル技術で支援しています。漁業DXソリューション「InnoReef®」を通じて、生産工程の効率化を図り、認証取得のためのデータ管理も行っています。これにより、漁業の生産性向上に貢献し、地域の持続可能な発展を支えています。
今後の展望
モズクのブルーカーボン・クレジットの活用により、3者は今後も協力して漁業振興と藻場保全に取り組む計画です。地域の子どもたちに向けた環境学習の開催や、モズク養殖の維持・拡大に向けた施策を実施していくことで、持続可能な地域社会の形成を目指します。
沖縄県うるま市とその地域が発信するモズクの新たな価値を、今後も見逃せません!