皆さん、近年のデジタル化の進展は、あらゆる業界で新しい風を吹き込んでいます。その中でも不動産業界は特に注目されている分野です。2025年6月17日、一般社団法人不動産テック協会が、一般社団法人クラウド型電子署名サービス協議会(CeSSA)主催の「2025年度コングレス」において、業界における電子契約の現状とその課題について重要な講演を行いました。
このコングレスは、クラウド型電子署名の普及と認知促進を目指して活動するCeSSAの第3回目のイベントで、デジタル庁の平将明デジタル大臣からのビデオメッセージもあり、同協議会の設立4周年を祝いました。大臣は、行政手続きのデジタル化の重要性や電子署名の普及が今後の社会において重要な鍵となることを強調しました。
国土交通省の近藤光氏も参加し、不動産業界におけるデジタル変革の重要性についてコメント。不動産契約書の電子化が進む一方、導入率が低い現状も警告しました。特に、中小業者を対象にした実証事業やAIの活用が求められている中、電子署名の簡便な検証方法についても改善の余地があると指摘されました。
このカンファレンスでは、参加企業が直面している現場の課題も共有されました。例えば、自治体のシステムによって電子署名が正常に機能しないケースや、リモート契約における本人確認の重要性、電子署名サービス間での互換性の不足など、多岐にわたる問題が示されました。これに対し、共通基盤の整備が急務であることもポイントとして挙げられました。
続いて登壇した和田浩明氏(GOGEN株式会社 代表取締役 CEO)は、「不動産取引における電子契約の普及状況と課題」と題した発表を行い、新築マンション販売では90%以上の普及率が見られる一方で、中古仲介では20%未満にとどまっているという格差を報告しました。
さらに、地方公共団体ごとの対応の違いを是正し、統一ガイドラインの策定が求められていることや、PDF署名による正当性の確認が現実的な手段であることも述べました。4社間契約の電子化に関する複雑さ、法的要件が進行中であることから、業界全体での標準化が不可欠であると訴えました。
この講演に対して、和田理事は「業界変革への道は長く、不動産事業者の取り組みもまだ道半ば。引き続きCeSSAとの連携を深め、実装支援に取り組んでいく」と力強いコメントを残しました。
不動産テック協会は、不動産とテクノロジーを融合させ、インフラの整備や情報セキュリティに関する調査を行い、健全な業界の発展を目指しています。このような背景を持つ協会が、今後も社会全体のデジタル化に貢献し続けることを期待しています。
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