生成AI時代の技術書活用実態
株式会社キッカケクリエイションが実施した調査に基づき、ITエンジニアによる技術書の活用状況を解析します。本調査に参加した330名のITエンジニアに対して、技術書の重要性や活用方法について尋ねました。
技術書はなぜ必要か
約90%のITエンジニアが、生成AIや動画の普及が進んでも技術書を手放せないと回答しています。その理由のトップに挙げられたのは「情報の信頼性」で、これを挙げた人は64.9%にも及びます。技術書は、疑似情報が氾濫する時代にあっても、しっかりとした知識を提供する貴重な情報源であることが確認されました。
続いて多いのが「手元に残して何度も読み返せる」という理由で、44.9%がこの点を重視しています。反復学習を重視するITエンジニアにとって、技術書は実務に直結したムダのない学びを提供する工具として機能しています。
読書のジレンマとその克服
一方で、多くのエンジニアが技術書を読みたくても読めていない状況にも直面しています。調査によると、37.3%のエンジニアが「自分のレベルや目的に合った本を選べない」と回答したのが最も多い理由です。価格や時間の制約も課題として挙げられており、33.3%が「書籍の価格が高い」と感じ、32.4%が「読む時間を確保できない」と述べています。
技術書の使い方に関する工夫
読めない理由が存在する中、技術書を活用するための工夫についても多くの回答が寄せられました。「業務で必要になったタイミングで読む」ことが48.5%のエンジニアにとっての常套手段となっているほか、「通読せず必要な箇所だけ読んでいる」という工夫も40.9%に達しました。これらの結果から、エンジニアが多忙な業務の中で効率的に学びを取り入れようとしていることが伺えます。
役に立った技術書は?
調査では、「これまでに読んで役に立った技術書がある」と答えたもので、56.1%が「複数冊ある」と回答しています。具体的な書名としては『リーダブルコード』や『マスタリングTCP/IP 入門編』が挙げられ、これらの書籍は実戦での活かし方や実用性が評価されていることがわかります。
投資額とその動向
ITエンジニアが技術書にかける月額予算は、「1,001〜3,000円」が30.9%と最も多く、400%(4割近く)は3,000円を超える支出層であることも確認されました。このことから、エンジニアたちは技術書に対して一定の投資を行っていることが見て取れます。
未来に向けて
生成AIや動画が氾濫する中でも、ITエンジニアにとって技術書は「信頼性」と「体系性」を備えた重要な学習手段としての位置を保ち続けています。ただし、「自分に合った書籍を選べない」という「選書の壁」や価格・時間の欠如が、技術書の利用を妨げていることは無視できません。今後は、レベル別・目的別のガイドラインの提供や、組織的な学びの仕組みの構築が、エンジニアが技術書から最大限に学びを引き出すためのカギとなるでしょう。
本調査の結果を参考に、ITエンジニアの皆様がより実践的で有意義な技術書体験を享受できることを願っています。