金融業界に新たな指針が示される!バーゼル銀行のリスク管理原則
健全なサードパーティリスク管理のための新原則
令和7年(2025年)12月10日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、金融機関が直面するサードパーティとのリスクをどう管理するかに関する新しい「健全なサードパーティリスク管理のための諸原則」を公表しました。これは、令和6年(2024年)7月から始まった市中協議をもとに、最終的な形として整備されたものです。
この新ガイドラインは、もともと平成17年(2005年)に導入された「金融サービスにおけるアウトソーシング」という文書を銀行業態に特化させたもので、金融業界におけるリスク管理の枠組みを新たに設定することが目的とされています。具体的には、以下のような内容が示されています。
9つのリスク管理原則
バーゼルの新原則は、金融機関がサードパーティとの関係において遵守すべき9つの原則から構成されています。これらは、最終的なリスク管理を強化し、より健全な金融サービスの提供につなげるために重要です。
1. 取締役会等の責任: 経営トップは、サードパーティとの関係におけるリスクを意識し、適切なガバナンスを構築する責任があります。
2. リスク管理枠組みの実施: リスクを特定し評価するための枠組みを導入し、それを実行することが求められます。
3. リスク評価: サードパーティとの業務がもたらすリスクを定期的に評価し、必要なテストやチェックを実施します。
4. デュー・デリジェンス: サードパーティを選定する際の審査プロセスを徹底し、リスクを軽減します。
5. 契約締結: 明確かつ公正な契約を結ぶことが重要です。この段階で、両者の責任を明確にする必要があります。
6. オンボーディング: 契約後、サードパーティを効率的に業務に組み込むためのプロセスが整備されます。
7. 継続的なモニタリング: 契約後も、サードパーティのパフォーマンスを継続的に監視し、リスクを管理します。
8. 業務継続管理: 万が一の事態に備え、業務継続計画を策定・実施します。
9. 契約終了: 契約の終了時にも、適切な措置を講じる必要があります。
3つの監督原則
さらに、監督当局に対しても3つの原則が示されています。
1. 銀行のリスク評価: 銀行自身がリスクを適切に評価することが必要です。
2. システム全体の集中リスク: 業界全体でのリスクを把握し、集中リスクへの対応が求められます。
3. 当局間の協調: 監督当局同士の情報共有と協力が不可欠です。
これらの原則は、金融機関が外部のリスクを適切に管理し、安定的なサービス提供を実現するために不可欠なものとなります。
その結果、今後の金融業界は、これまで以上に透明性を持ったリスク管理を通じて、信頼性を高め、顧客に対してより良いサービスを提供することが期待されます。金融庁もこの施策を支援し、市場全体の健全な成長に寄与することを目指しています。