組織の理想を実現するために
近年、企業の人材育成や組織文化の重要性が高まる中、伊藤誠英氏の著書『もうヒトで悩まない超える経営』は、その具体的な方法論を示す貴重な一冊です。本書では、名古屋のブライダル企業、株式会社ブライド・トゥー・ビーの成功事例を元に、効果的なHRメソッドや企業理念について探っていきます。
企業の理念と社員の幸福度
この企業は、「明るく 楽しく元気よく」、「HAPPY PEOPLE MAKE HAPPY PEOPLE」を企業理念に掲げています。この理念は、従業員の幸福を重視し、ポジティブな職場環境を形成することを目的としています。無記名の従業員調査でも『会社が好き100%』『産休育休後復帰率100%』という結果が示されるなど、従業員の満足度の高さが伺えます。
オリジナリティあふれるHRメソッド
株式会社ブライド・トゥー・ビーでは、以下のような独自のHRメソッドが展開されています。
- - 全メンバー人事部:全社員が人事に関与し、自らの職場環境を作り上げていく仕組み。
- - 社内悪口の完全NG化:否定的な言葉を排除し、ポジティブなコミュニケーションを促進。
- - 承認欲求を満たす人事制度「ハグみん」:従業員の努力を可視化し、認め合う仕組み。
- - やる気重視の抜てき制度「ハンズアップ」:意欲を重視した人材育成。
- - 社内NGワードづくり:ネガティブな言葉を禁止し、円滑なコミュニケーションを促進。
これらの取り組みは、子供の頃に教わった「みんなと仲良くする」「素直な気持ちで人の話を聞く」といったシンプルな原則に基づいています。
リーダーシップを発揮する若手社員
この企業では、若手社員がリーダーシップを発揮できる環境が整えられています。還暦を迎えたシェフが新たな挑戦をする姿勢は、社員全体に刺激を与え、活気を生み出しています。また、コロナ禍においても、全メンバーが一丸となり書籍の出版やカヌレの路上販売に取り組むなど、組織力の強さが示されています。
経営者へのメッセージ
本書は、経営者にとって「もうヒトで悩まない」ためのヒントが満載です。経営者が泥臭く、一生懸命さを持って挑む姿勢は、社員たちに強い影響を与え、組織をさらに強化することにつながります。元気と勇気を与える本書は、多くの日本の中小企業にとって、希望の光となることでしょう。
著者の背景
著者の伊藤誠英は、大学卒業後、様々な職を経て28歳で株式会社ブライド・トゥー・ビーを設立しました。彼は「企業文化で徹底的に勝負する」をモットーに、従業員満足度を高めるためのサプライズな取り組みを実施しています。『週刊ホテルレストラン』では人気コラムを連載しながら、理念経営の重要性を訴え続けています。
まとめ
『もうヒトで悩まない超える経営』は、人材育成や組織文化を重視する経営者にとって、実践的な手法を学ぶための非常に有用な一冊です。企業の理想を追求する過程で、社員と共に歩むことが成功の鍵となるでしょう。