いのち会議が描く未来のビジョン
「いのち会議」は、未来を変える重要な取り組みを行っています。第13回目となる会議では、「100万年の人類史をたどり、いのちの未来をデザインする」というテーマのもと、今後の社会について考察されました。工業社会の進展により、人々の暮らしは向上しましたが、経済システムが過剰な消費と資源の浪費を招くこともまた事実です。このままでは、地球の持つ生態的な再生力が踏みにじられてしまう危険性があります。このような背景から、経済システムの根本的な見直しが求められています。
経済システムの変革が求められる理由
豊かさの概念を根本から見直す必要があります。モノやカネに依存した競争から、地球のいのちを再生し育む方向へとシフトすることが求められています。このプロセスを支えるのが「SINIC理論」です。1970年の大阪万博においてオムロン創業者の立石一真によって提案され、今では多くの企業や地方自治体、起業家たちに支持されています。
この理論に基づく未来ダイアグラムは、人類の歴史から科学と社会の相互作用を考察し、未来の社会を見据える手助けをしています。特に、産業革命以降の工業社会から、心や集団の価値が再評価される時代への移行は、新たな豊かさを生み出す重要な転換点と位置づけられています。
自立と共生を目指した新たな経済システム
会議では、経済システムの未来像として「再生型経済(リジェネラティブ・エコノミー)」と「善行型経済(エシカル・キャピタリズム)」という二つの軸が浮かび上がりました。リジェネラティブという概念は本来、農業分野を起点に、劣化した自然環境を再生しつつ持続的な生産を目指すものであり、現在はそれを社会全体に拡大した考え方です。このように、いのちの集合体として社会を捉え、様々ないのちの再生を支える経済活動を進める必要があります。
エシカルは、企業の目的を善行に置くことが重要視されています。近江商人の理念や渋沢栄一の教えが再評価され、次世代の社会的企業の成功例に基づく思考として活用されています。社会貢献をビジネスに結びつけることで、より良い未来を築く可能性が広がるのです。
未来世代への取り組み
オムロン株式会社のヒューマンルネッサンス研究所では1990年代からこのような社会変革に向けた活動が進められてきました。特に新しい技術やビジネスモデルの構築において、自律分散ネットワークを活用することが重要視されています。さらに、未利用資源の活用や健康寿命の延伸に向けた取り組みが進行中です。これらは、共生を目指す新たな価値指標の開発に貢献しています。
「いのち会議」はこのような取り組みを応援し、未来の社会を共に創造していくことを目指しています。私たち一人一人がいのちの輝きを再認識し、新たな価値の創造に向かって行動を起こすことが求められているのです。各自の意識改革と行動が、未来を明るく照らす一歩となるでしょう。