サステナブル・ラボ株式会社は、2024年7月8日から12日にかけて熊本で開催された第40回「ASEAN+3 Bond Market Forum(略称 ABMF)」国際会議で、非財務データサイエンスに関する最新の研究内容を発表しました。
同社は、非財務データに関する研究を行う日本企業として、本フォーラムに招待され、データサイエンティストのJiaqi Yang氏がASEAN各国の金融企業やサステナブルファイナンス専門家と共にパネルディスカッションに登壇しました。
Yang氏は、6月にアジア開発銀行より公表されたレポート「ASIA BOND MONITOR」にて共同研究を実施した「XBRL開示における環境マテリアリティ 〜日本の実態から〜(Environmental Materiality in eXtensible Business Reporting Language Disclosures:Evidence from Japan)」に触れながら、アジアのサステナブルファイナンス市場促進におけるESGデータ収集と管理ツールの重要性、およびXBRLを用いたESG開示の有用性を強調しました。
フォーラム2日目のセッションは「DXはASEAN+3にどのような影響を与えるか?」をテーマに開催され、同社COOの高橋氏が「ESG評価にXBRLをどう活用するか(How to utilize XBRL for ESG evaluation)」について、国内外に向けてプレゼンテーションを行いました。
サステナブル・ラボは、業界との連携を通じてXBRLの普及を促進し、より充実したデータ提供と報告の向上に貢献していくことを目指しています。また、非財務データプラットフォーム「TERRAST」で日本だけでなくASEAN地域の企業データも収集することで、ASEAN地域の経済力向上にも貢献したいと考えています。
同社は、ESG/SDGsに特化した非財務データプラットフォーム「TERRAST」や非財務・サステナビリティデータ開示・分析支援ツール「TERRAST for Enterprise」を開発・提供しています。また、サステナブル企業名鑑「テラスTV」を運用し、非財務指標と財務指標の因果分析、相関分析も行っています。データサイエンス × サステナビリティ × 金融工学領域の出身者による、ESG/SDGsに特化した非財務ビッグデータ集団として、社会・環境貢献と経済をシームレスに接続することを目指しています。
同社は、日経グループによる「未来の市場をつくる100社(2023年版)」に選定されました。
アジア開発銀行との共同研究について
サステナブル・ラボがアジア開発銀行と共同研究を行なった「XBRL開示における環境マテリアリティ 〜日本の実態から〜(Environmental Materiality in eXtensible Business Reporting Language Disclosures:Evidence from Japan)」の概要は以下の通りです。
研究の目的
近年サステナビリティ開示が増加している日本におけるESG情報開示のダイナミクスをデータで明らかにすること。
本研究で、企業が開示するデータをXBRL形式で利用し、ESG情報の代替的なデータソースとしての可能性を検証すること。
主な結果・示唆
ESG開示の動向:日本では2013年以降、この10年でサステナビリティ関連の情報開示が大幅に増加している。
関連性の検証:ESGマテリアリティ開示と企業の財務・非財務パフォーマンスとの間における相関関係は、更なる詳細な分析が必要とされる。
市場セグメントや業界別のデータ分析、特定のESGディメンション(環境、社会、ガバナンス)に焦点を当てた分析の必要性が示された。
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今後
XBRLデータを活用することで、ESG情報開示のトレンドを理解し、企業パフォーマンスとの関連性を探るための有効な手段となることが確認された。また、今後さらに多くのXBRLベースの情報開示が行われることで、より価値のある研究が可能となることが期待される。