特別展「魂を込めた 円空仏」開催のお知らせ
岐阜県高山市の千光寺に由来する特別展「魂を込めた 円空仏」が、2024年2月1日から3月30日まで東京都中央区の三井記念美術館で開催されます。この展覧会では、江戸時代の修行僧、円空が手掛けた貴重な作品を展示するほか、日本橋にて初めて公開される「両面宿儺(りょうめんすくな)像」もお目見えします。この像は、近年人気を集める漫画に登場することで知名度が急上昇しました。
円空は、各地を巡りながら木彫の神仏像を創り続けたことで知られ、その作品の数は約5000余体にも及ぶと言われています。彼の彫刻は、荒々しい削り跡と柔和な表情が共存しており、現代にも通じる彫刻作品として多くの人々の心を惹きつけています。特に、今回の展覧会では飛騨の匠の伝統を反映した円空仏が数多く集められており、訪れることで一層深い理解が得られることでしょう。
円空の木彫とその思想
円空は、木材の中に神仏の姿を観想し、その思いを込めて彫刻をしていました。彼の彫る神仏像には、樹神への信仰や、自然との共生を象徴する独自の思想が込められています。特に、飛騨・千光寺にある金剛力士立像は、円空にとって素材自体からインスピレーションを受けて創作された大作として注目されています。この像は、飛騨の自然に根ざした「樹神信仰」から生まれたものであります。
また、円空はその彫刻の技法やスタイルを通じて、仏教の儀礼を表現しています。削り痕を残すことで、木材の本質を強調し、「円空仏」として今日まで大切に受け継がれてきました。彼の作品は、奈良時代から続く「飛騨の匠」の伝統を色濃く反映し、彫刻史においても特異な存在として位置付けられています。
展覧会の詳細
今回の特別展は、三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町2-1-1、三井本館7階)で行われます。入館料は一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下は無料です。特に70歳以上の方は1200円で入館できます(要証明)。美術館の入室は日本橋三井タワー1階アトリウムから。
さらに、会期中には特別講演会も行われます。講演の内容は、「新円空論―日本彫刻史の円空とその魅力」と題し、清水眞澄館長による講演が予定されています。また、もう一つの講演「日本の木彫像の樹種をめぐって」では、成城大学の岩佐光睛教授がクスノキやヒノキなどの木材に焦点を当てます。この貴重な学びの機会もお見逃しなく。
お問い合わせ
展覧会や講演会に関する詳細や予約方法については、三井記念美術館の公式ウェブサイトを訪れてご確認ください。興味を持たれた方は、ぜひこの春、円空の深い仏教的思想と木彫作品に触れにお越しください。