田中貴金属工業が新たな合金材料「TK-SK」を発表
田中貴金属工業株式会社は、半導体パッケージのファイナルテストに最適なプローブピン用のパラジウム合金材料「TK-SK」を新たに発表しました。本製品は、2024年10月24日から25日に福岡県で開催される「SWTest Asia 2024」で紹介される予定で、年内にはサンプルの提供も開始する計画です。
「TK-SK」の特性と用途
「TK-SK」は、半導体製造の最終工程で行われる通電試験で使用されることを目的としています。この合金材料は、驚異の硬度640HVを実現しており、これにより検査の精度と効率を向上させることが期待されています。
近年、半導体製品の需要が増加する中で、プローブピンに求められる高硬度が一層高まっています。しかし、高硬度化に伴う加工の難しさや、使用中の摩耗による変形のリスクが課題として残されていました。従来のパラジウム合金系材料の硬度は560HV程度が上限でしたが、田中貴金属工業は独自の加工技術を駆使して、640HVという新たな地平を開きました。
利点とメンテナンスの軽減
テストソケットに使われるポゴピン型プローブピンは、検査中に摩擦が生じるため、性能を維持するには定期的なメンテナンスが必要です。プランジャー部分は摩耗や変形が避けられず、あるいははんだ材料が付着することもあります。このため、従来のプローブピンでは頻繁な交換が求められていましたが、「TK-SK」はその高硬度により、摩耗を軽減し、メンテナンスにかかるコストを削減する可能性が広がります。
未来の展望
田中貴金属工業は、2028年までに「TK-SK」の出荷量を現行製品の1.5倍に引き上げる目標を掲げています。半導体市場が拡大する中で、自社の技術を駆使し、さらなる製品革新を追求する姿勢を見せています。今回の「TK-SK」導入は、その一環として業界に新たな波をもたらすことが期待されます。
展示会「SWTest Asia 2024」は、福岡市のヒルトン福岡シーホークで行われる予定で、田中貴金属工業はブース番号210で出展します。
企業情報
田中貴金属グループは、1885年に創業した貴金属関連の事業で、日本国内トップクラスの取扱量を誇ります。産業用製品だけではなく、資産や宝飾品の分野でも長年の実績を持ち、製品やサービスの提供において国内外の企業と連携を深めています。2023年度の連結売上高は6111億円に達し、5355人の従業員を擁する企業です。
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