スタートアップデータ標準化協会の設立
2023年、一般社団法人スタートアップデータ標準化協会が設立されました。この新たな協会は、日本におけるスタートアップの現場が抱える課題を解決し、スタートアップ・エコシステムの発展に寄与することを目標としています。
設立の背景
日本の産業競争力の向上には、イノベーションの社会実装を目指すスタートアップが重要な役割を果たしています。岸田内閣の政策においてもスタートアップ支援は中核的なテーマとなっており、今後5年でスタートアップ市場を10倍にする計画が策定される見込みです。
しかし、こうした大きな方針の裏で、スタートアップが直面する具体的な実務上の課題が見逃されがちです。実際、日本では会社設立や資金調達、株式売却などにかかるコストが、スタートアップ先進国である米国と比べて高いのが実情です。このため、日本のスタートアップは常にディスアドバンテージを抱えながら競争しなければなりません。
このようなコストの違いは、米国が長年の経験を通じてスタートアップ支援のインフラを整備してきたことが一因です。その一方で、日本では支援団体が個別案件に集中するあまり、全体のエコシステムをアップグレードする努力が疎かになっているという方針の未整備が存在しています。
現場の課題とは
実務コストの高騰の大きな要因の一つは、スタートアップのオペレーションの標準化が不足している点です。特に、スタートアップが管理すべきデータが適切にデジタル化されておらず、フォーマットや規格が統一されていないため、資金調達やエグジットなどの重要なイベントで関係者がそれぞれ異なるデータを使用しなければならないという非効率が生じています。
従って、一般社団法人スタートアップデータ標準化協会は、各種データのデジタル化と標準化を進め、スタートアップの設立や資金調達を容易にするための施策を提案・実施します。
ミッションと活動内容
ミッション
協会のミッションは、スタートアップの証券、財務、登記データの標準化とデジタル化を進めることによって、スタートアップのコストを削減し、経営のスムーズな進行を支援することです。
活動内容
具体的には、以下のような活動を行います:
- - スタートアップデータ整備に関する研究や調査
- - 政府や関連団体との連携によるデータ整備の推進
- - スタートアップのデータに関する標準規格やガイダンスの策定
- - 標準化されたデータの普及活動と啓蒙活動
設立会員と期待される役割
設立時には、様々な団体や個人が名誉会員として参加しています。名誉会員には平将明、平井卓也、和田義明の各議員、法人会員には司法書士法人aviatorsやみずほ銀行、個人会員には弁護士や司法書士といった専門家が名を連ねています。これらの会員が協力し、スタートアップのハードルを下げるための活動を行います。
代表理事の砂川大氏は、「スタートアップのデータの標準化が、エコシステムの発展に不可欠である」と述べ、活動への意欲を見せています。また、理事の山井康浩氏は、各社のデータがアナログで管理されていることが金融機関にとっての大きな課題だと指摘し、データの統一化が期待されると語っています。
今後、スタートアップデータ標準化協会は、日本のスタートアップの成長を促進し、ひいては経済の活性化にも寄与することを目指していくことでしょう。スタートアップのエコシステムが進化する中で、今後の活動に注目が集まります。
公式ホームページは
こちらから確認できます。