ユーグレナ、バイオ燃料原料の高密度培養に成功
株式会社ユーグレナは、バイオ燃料原料向けの微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の高密度培養に関する実証試験を実施し、商業生産に向けた重要な成果を上げました。この試験により、ユーグレナの培養密度は最大約10倍の達成が確認され、従属栄養培養によるスケールアップの可能性が示されました。
実施した実証試験の内容
実証試験は2024年10月、沖縄県石垣市において行われ、八重山殖産株式会社が協力しています。実際の商業生産に使用されるタンクを用いて、ユーグレナの高密度培養が行われました。今回の試験は、ユーグレナの実用化に向けた重要なステップとなると期待されています。
これまでのユーグレナの取り組み
ユーグレナは、バイオ燃料原料向けに微細藻類の商業生産を2030年代前半に開始することを目指しています。そのため、ユーグレナを含む微細藻類の大規模かつ低コストでの培養技術の確立に向けた研究開発を推進してきました。バイオ燃料の商業生産においては、膨大な土地面積と多くの培養設備が必要になりますが、成功した今次実証試験は、ユーグレナの培養密度を上げることで生産コストを大幅に減少させる可能性を持っています。
ユーグレナの培養技術
ユーグレナの栄養培養には、独立栄養培養と従属栄養培養の2つの方法があります。独立栄養培養では、光をエネルギー源、二酸化炭素を炭素源とし、効率的に培養します。一方、従属栄養培養では、糖やエタノールをエネルギー源として利用する方法です。この実証試験では、従属栄養培養による酸素供給量の確保が重要で、ユーグレナの高密度培養を実現しました。
成果と今後の展望
今回の試験では、ユーグレナの生産量が土地面積あたりで約2,000倍相当という素晴らしい数字を記録し、脂質含有率も平均約35%に達しました。これらの成果は、将来的な商業生産に向けてのパフォーマンス向上を強く示唆しています。さらに、ユーグレナの脂質を抽出した後の脱脂藻体は、サステナブルアグリテック事業での利用が検討されており、食品や化粧品などの分野にも活用される見込みです。
まとめ
ユーグレナは、バイオ燃料原料の商業生産に向けて、着実な一歩を踏み出しました。今後も高密度培養技術の進化が続き、さらに多くの希少成分の生産が期待されます。持続可能な社会に向けた取り組みとして、ユーグレナのバイオ燃料研究は他の追随を許さない先駆的な成果を上げることでしょう。引き続き、注目していきたいと思います。