ポジトロニウムの回折現象
2026-01-09 10:50:28

東京理科大学が世界初のポジトロニウムの回折現象を観測!新たな研究への道が開かれる

世界初のポジトロニウム回折現象の観測



近年、物理学における革新的な研究が進む中、東京理科大学の研究グループが注目の成果を上げました。電子と陽電子からなる中性粒子「ポジトロニウム」の回折現象を、世界で初めて観測したというのです。この研究は、ポジトロニウムの量子干渉の実証に成功し、さらには新たな結晶構造解析や基礎物理学の探求に道を開く重要な成果となりました。

研究の背景と意義



量子力学が誕生して100年という節目の年、東京理科大学 理学部第二部物理学科の長嶋泰之教授、永田祐吾准教授、そして大学院生の三上力久氏の研究グループが、陽電子と電子が相互作用し形成されるポジトロニウムという中性粒子に着目しました。ポジトロニウムはその性質上、質量が水素原子の1/1000しかなく、生成されてからごく短い時間で自己消滅するため、これまで実験的な観測が難しいとされていました。

この短寿命にもかかわらず、ポジトロニウムは波動性を持ち、量子力学の法則に従うため、干渉現象を起こす可能性を秘めています。ポジトロニウムの様子を捉えることで、今まで考えられなかった新たな物理学の見方が広がると期待されています。

実験の詳細



実験では、高品質なポジトロニウムビームを調整するため、特別に設計されたシステムを用いました。このビームをグラフェンという炭素の薄膜に透過させ、ポジトロニウムの回折を観察しました。グラフェンは非常に薄い膜を作ることができ、ポジトロニウムの波動性に適した環境を提供します。

研究チームは、ポジトロニウムのエネルギーを2.3 keVまたは3.3 keVに調整し、ポジトロニウムがグラフェンに入り込む様子を観測しました。この過程で、ポジトロニウムが中性であるため電場による加速が難しく、電子を束縛した「ポジトロニウム負イオン」を生成してからの実験が必要でした。

回折現象の観測



実験の結果、グラフェン薄膜を通過したポジトロニウムビームが、特定の位置で回折を示すことが確認されました。この回折像は、ポジトロニウムの波動性を裏付ける重要な証拠とされ、ポジトロニウムが他の粒子と同様に結晶構造解析に使える可能性を示唆しました。

観測されたピークは、理論的に計算された位置と一致しており、ポジトロニウムがグラフェンの原子で回折を起こしていることを強く示唆しています。この発見により、ポジトロニウムを利用した新たな基礎物理学の研究への期待が高まっています。

未来への期待



今回の研究成果は、基礎物理学の新しい領域を切り拓く可能性を秘めており、特にポジトロニウムにおける重力測定への応用が期待されています。ポジトロニウムの干渉を利用した実験は、従来の電子や陽電子では達成できなかった研究成果を生むかもしれません。

この成果は、今後の物理学において、新たな視点を提供する手助けとなるでしょう。もしかしたら、ポジトロニウムが未解決の物理的な謎を解くカギとなるかもしれません。さらなる研究の進展に目が離せません。

この研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業の支援を受けて実施され、2025年12月23日に国際学術誌「Nature Communications」に発表されました。


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