AIによる化学製造自動化
2025-02-18 10:06:26

AI技術による化学品製造の自動化が実現、運転員の負担軽減へ

AIによる化学品製造工程の自動運転



近年、AI技術の進展が目覚ましい中、株式会社日本触媒とNTTコミュニケーションズが共同で化学品製造工程の自動運転に成功したとの発表がありました。この革新的な取り組みは、プラントの自動化を実現するNTT Comの「AI Autopilot System」を使用し、複雑な化学工程を操作する熟練運転員のノウハウをAIが学習することで達成されました。

化学品製造の課題


化学品製造においては、温度、圧力、濃度など、さまざまな要因が常に変化します。そのため、運転を担当するオペレーターには豊富な知識や経験が求められます。特に、連続蒸留工程では、投入される原材料の組成や天候などの外的要因によって生産条件が変化するため、専門的な知識に基づいた迅速な適応が求められますのが現状です。

この状況下で、運転員は高い集中力を持ち続けながら常時手動で操作しなければならず、これは運転の安定性にとって大きな課題となっていました。特に、熟練運転員の育成には多くの時間と労力がかかることから、自動化が急務とされていました。

本システムの概要


今回、両社は高度なAI技術を用いて連続蒸留工程における運転データと操作履歴を基にしたAIモデルを構築しました。このモデルを「AI Autopilot System」に組み込むことで、従来の自動運転では難しかった状態の変化が多い工程での自動運転を実現しました。これにより、運転時の液面監視や温度管理にかかる負担が軽減され、効率的な運転が可能となります。

実験の結果、手動運転時の液面の誤差が平均2.38%だったのに対し、AIによる自動運転では平均2.06%まで改善されたことが確認され、熟練運転員による手動操作と同等以上の品質を実現しています。

今後の展開


日本触媒は、今回の成功をもとに工場内の他のプラントへの展開を計画しており、運転員の負担をさらに軽減し、技能継承のプロセスを効率化していく方針です。また、NTT Comはバッチプラントや少品種多量生産を行うプラントにおける自動運転の拡張を推進し、この技術を他の産業分野にも適用することで、業務の効率化と人手不足の解決を目指しています。

企業情報


日本触媒は1941年に創業し、自社開発の触媒技術を基に国内外で様々な化学製品の開発を行っています。高吸水性樹脂やリチウムイオン電池の材料などは特に有名です。一方、NTT Comは1999年に設立され、ICTサービスの提供を通じて、通信インフラだけでなく、さまざまな業界のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。

このように、熟練の知識を持つ運転員の技能をAIが引き継ぐことで、化学製造の分野における新たな一歩であり、今後も注目が集まる技術です。


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会社情報

会社名
株式会社日本触媒 NTTコミュニケーションズ株式会社
住所
電話番号

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