名古屋市におけるAWSコスト管理の成功事例
名古屋市が進めたFinOpsの取り組みは、地域のクラウド環境の効率化に大きく寄与しています。2025年3月から始まった実証実験から、わずか数か月で具体的な成果が見えてきました。具体的には、AWSに関連するコスト削減に成功し、業務の効率化も実現されました。これらの成果は、全国の自治体にとって模範となることが期待されています。
導入背景
名古屋市は、2022年に掲げた「名古屋市役所DX推進方針」に基づいて、ガバメントクラウド環境への移行を先導してきました。特に、業務ごとに独立したAWSアカウントで運用する「単独利用方式」を採用し、柔軟な運用と強固なガバナンスを実現しています。ですが、異なるアカウントに分散したコストの把握や請求書作成に課題があったため、改善策として「srest」が選ばれました。
2025年3月、名古屋市はガバメントクラウド環境において「srest」を使用した初の実証実験を実施。その結果、複数アカウントの請求情報を自動的に収集・可視化し、迅速に運用が進められるようになりました。そして、同年6月には正式導入が決まります。
導入による成果
利用促進を実現したUI/UX
「srest」は直感的なUI/UXを持ち、簡単な操作で利用可能です。カーソルを合わせるだけで情報がポップアップ表示されるため、AWSに詳しくない職員でも簡単にコストを確認できるようになりました。これにより、利便性が向上し、多くの職員が積極的に利用するようになっています。
業務の効率化
導入前は、PDFの請求データをExcelに手作業でまとめ、複数の会計にわたる話し合いが毎月行われていました。しかし「srest」のコストアロケーション機能を用いることで、必要な費用按分が自動化され、作業工数が大幅に削減されました。また、各システム担当者が自らのコストを把握し、それについて説明する体制が整い、責任感も生まれています。
無駄な支出の削減
各業務システムにおけるコスト構造の明確化に成功し、サーバー料金に対する監視サービス料金の高騰に気づくことができました。この情報を基に、不要なコストの削減に向けたアクションを迅速に実行し、実質的な経費を抑えることができました。
「srest」ツールの紹介
「srest」は、複数のAWSアカウントのコストデータを統合し、FinOpsの視点から継続的なコスト最適化を支援します。直感的なダッシュボードによって詳細なコスト分析が可能となり、組織全体のクラウドコストに対する透明性が向上します。AWSによる技術レビューも通過し、認定を取得しています。このことは、信頼性と機能性を高めるための重要な要素です。
まとめ
名古屋市のこの取り組みは、FinOps推進にとっての先進的なモデルケースとして全国の自治体にも広がっていくことでしょう。デジタル技術の活用により、持続可能なコスト管理が実現されることを期待しています。今後の他の自治体での同様の取り組みがますます注目されることになるでしょう。