新NISA利用状況調査から見えてきたこと
株式会社ベター・プレイスは、2024年12月に全国の20~50代の男女を対象に「新NISAの利用状況」に関する調査を実施しました。新NISA導入から約1年経過し、投資家の意識や利用実態について顕在化した結果を紹介します。
認知度は高いが利用者は少ない
調査の結果、NISAという制度について知っていると回答したのは77.9%であり、多くの人々がこの制度を認知しています。しかし、NISAを利用していると答えたのはわずか45.5%で、半数以上の人が実際にはこれを利用していないという数字に驚かされます。
NISAを利用しない理由
NISAを利用していない理由を尋ねたところ、最も多い回答は「投資に回すお金がないから」で、これが45.2%を占めました。続いて「何を選べばよいかわからないから」や「元本割れのリスク」がそれぞれ21.4%、21.0%と多くの回答がありました。このことから、投資に対する不安や認識の不足が伺えます。
目的は明確でも売却は慎重
NISAを過去に利用した人々に、その理由を聞いたところ、72.0%が「将来に向けて資産を増やしたいから」との回答があり、多くの人は資産形成に対する意欲を持っています。ですが、一方で41.8%が「資金が必要ないのに売却したことがある」とも答えました。売却理由は「値上がりしたので利益を確定する」との回答が47.9%と最も多く、続いて「値下がりしたから」が27.7%と、判断が分かれています。
企業年金の認知度の課題
調査では、NISA以外にも税制優遇措置のある資産形成手段として企業年金の存在を知らない人が64.1%と多かったことも明らかになりました。この結果から、企業年金のメリットを知る機会が少なく、資産形成に対する選択肢が狭まっていることがわかります。
ベター・プレイスの見解
この調査に対する代表者である森本は、資金が必要でない売却が多いことに懸念を示しつつ、NISAの本来の目的が将来の資産形成であると強調しました。投資では長期の運用が基本であり、複利効果をいかに活用するかが重要です。NISAの最大の利点はこの運用益に税金がかからない点だと指摘しました。
また、企業年金の認知度向上を課題として挙げ、職場を通して資産形成ができる制度の普及が必要であると述べました。
まとめ
新NISAの利用状況調査は、投資家の意識や行動を深く掘り下げる重要な情報を提供しました。中でも、認知度と利用率のギャップ、売却に対する慎重な態度、企業年金に対する低い認知度が浮き彫りになりました。これらのデータを生かし、より多くの人が資産形成を行えるように、教育や情報提供の強化が求められるでしょう。