地域が生んだアートの新しい可能性
神戸市の須磨海岸に位置するNPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトは、障がいの有無に関わらず誰もが楽しめるビーチづくりを目指しています。このプロジェクトは企業CSCと連携し、神戸フォントを活用した新たな取り組みを開始しました。神戸フォントは、デザイナーの磯村歩氏が2016年に開発したもので、障がい者福祉施設とデザイン学校の学生が協力して生まれたフォントです。このフォントは神戸の地域性を反映した特別なデザインを特徴とし、地域のイベントや商品のロゴに使用されています。
神戸フォントとは何か
神戸フォントは、シブヤフォントから派生した「ご当地フォント」の一つであり、全国、さらには国際的にその価値が広がっています。このフォントは、障がい者支援やアートを通じて地域の文化を発信する重要な手段となっています。使用される料金の一部は、障がい者支援の事業所に還元され、工賃向上に大きく寄与します。このように、フォントの利用が直接的に地域社会の支援につながる仕組みが確立されています。
須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの活動
須磨ユニバーサルビーチプロジェクトは2017年から活動を開始し、2023年には就労継続支援B型事業所「Base」を開設しました。この拠点では、軽作業やデザイン制作のスキルを生かした業務が行われており、それにより利用者の自己実現や工賃の向上を図っています。ただし、全体の工賃状況は依然として厳しく、特に障がい者の自立支援には大きな課題が残っています。
新たな連携の意義
「みんなのできないをできた!に変える」という使命を掲げる須磨ユニバーサルビーチプロジェクトは、株式会社PLASTとの連携を通じて神戸フォントの普及に注力しています。この取り組みは、利用者の工賃向上や新しいアートの発信、地域との連携を通じて、より多くの人が参加できる社会を目指しているのです。その姿勢は、地元企業との協働を通じても強調されています。
株式会社PLASTの代表、廣田恭輔氏は、「神戸フォントは地域のアートを活かすためのプロジェクト。」と述べ、さらなる協働の意義を強調します。また、須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの代表である木戸俊介氏も、新しい連携が地域の発展に繋がることを期待しています。
未来への展望
このプロジェクトの成功は、障がい者を含むすべての人々がアートを通じて自己実現を果たすためのモデルになり得ます。地域共生を目指す活動が、今後どのような形で進化していくのか、その動向には目が離せません。
須磨ユニバーサルビーチプロジェクトと神戸フォントのコラボレーションは、地域のアートが社会の中でどのように変わっていくのか、多くの人の背中を押す力となるでしょう。新たな試みが地域にどのような影響を与え、障がいの有無にかかわらず、すべての人が楽しむ社会が実現できることを願っています。