スーダン北ダルフール州でのコレラ蔓延と子どもの健康危機
2025年8月3日、スーダン北ダルフール州のタウィラで、コレラの症例が急増しています。この地域は、紛争によって影響を受けており、ユニセフ(国連児童基金)は、子どもたちが感染の危機にさらされていることを懸念し、支援の必要性を訴えています。
コレラの状況
今年の6月、北ダルフール州で最初のコレラ症例が確認されて以来、1,180件を超える症例が報告されています。そのうち約300件が子どもによるもので、最小限で20人が命を落としたとされています。ダルフール地方全体では、コレラの症例数が約2,140件に達し、80人以上が死亡したと報告されています。特に、5歳未満の子ども64万人以上が、コレラのみならず疾病や飢餓の危険に直面しています。
紛争による人道的危機
タウィラは、約50万人の国内避難民を受け入れており、食料や水、医療サービスの不足が深刻です。加えて、保健医療施設が戦争の影響で閉鎖される中、清潔な水の確保が難しい状況が続いています。このような劣悪な環境において、 コレラや他の疫病が広がる危険性が高まっています。
栄養不良とコレラの関連
最近の調査によると、北ダルフールで重度の栄養不良に苦しむ子どもの数が昨年から2倍に増加しています。栄養不足はコレラにかかるリスクを高め、感染による死亡者がさらに増加する可能性があります。子どもたちが命を守るための食料や医療を受けられない限り、予防可能な病気で多くの子どもが亡くなるリスクは高まる一方です。
ユニセフの取り組み
ユニセフは、北ダルフール州で感染拡大を防ぐために、命を守るための対策を講じています。具体的には、経口補水塩(ORS)の配布や水関連施設の修復を進め、約3万人が安全で清潔な水にアクセスできるようにしています。また、140万回分以上の経口コレラワクチンも準備中で、コレラ治療センターの強化にも取り組んでいます。
確保した資源は、コミュニティへの啓発活動や対面での会話を通じた予防意識の向上にも利用されており、地域の人々への感染予防に努めています。
今後の展望
ユニセフは、スーダン政府や関係者に対し、支援が届くための安全なアクセスを確保するよう引き続き要請しています。現地での暴力的な状況が続く中で、子どもたちに対する緊急の対応と持続的な支援が何よりも重要です。ユニセフの代表は、「彼らには1日たりとも待つ余裕はない」と強調しています。国際社会がこの人道的危機に目を向け、支援を強化することが求められています。