パレスチナ・ガザ地区の医療状況改善のための支援呼びかけ
国境なき医師団(MSF)は、パレスチナ・ガザ地区における緊急医療の必要性を訴え、各国政府に対して医療搬送の拡大を求めています。特に、ガザでの医療施設が壊滅的な状況にある中、命を脅かされている患者たちに対して早急な対応が必要とされています。2025年10月22日から、ガザからの医療搬送が再開される予定です。
医療状況の深刻さ
MSFは、ガザ地区の医療状況が「壊滅的」であると指摘しています。イスラエルの軍事行動により病院は破壊されており、多くの医療従事者が命を落としました。現在、WHOの報告によると、1万5600人以上がガザからの医療搬送を待っており、その中には子どもや慢性疾患を抱える患者が含まれています。昨年から今年にかけて740人の患者が搬送を待つ間に亡くなり、その中には137人の子どももいます。
この状況に対して、MSFインターナショナル会長のジャビド・アブデルモネイム医師は、「これらの死は防げるものであり、医療体制の崩壊と政治的無策が原因です」と憤りを表しています。
世界各国への支援の要請
ガザ地区からの医療搬送を受け入れている国々は、エジプトやアラブ首長国連邦、トルコなど多岐にわたりますが、その数は国によって異なります。日本も2025年3月から受け入れを始めましたが、現時点での受け入れ数はわずかに2人にとどまっています。この数字では、FAOのニーズに対する対応としては不十分です。
MSFは、以下の要件に基づいて、各国政府に対して支援を行うように求めています。
- - 停戦の維持と人道的援助の確保
- - 医療搬送の数の大幅かつ緊急な増加
- - 医療的な緊急性に基づく搬送の実施
- - ビザや手続きの迅速化
- - 付き添い人の同行を可能にすること
- - 患者の帰還権と国外滞在権の保障
- - メンタルケアや継続的な治療、リハビリの提供
冬に備えて
医療搬送は、ただ単に患者を他国に移送するだけではなく、ガザ地区への人道支援の継続とも深く結びついています。冬が近づく今、廃墟となった住居に戻る人々が増えている中で、MSFは医療物資や燃料、清潔な水、避難所などの迅速な支援が必要であると訴えています。WHOによると、現在ガザの36の医療施設のうち14施設が一部稼働していますが、完全に機能している施設は皆無です。
さらに、過去2年間で1722名の医療従事者が命を落としており、MSFのスタッフもその中に含まれています。医療従事者の不足は、ガザの患者にとって生命に直結する問題です。
収束を見せない危機の中、パレスチナ・ガザ地区の医療状況改善のためには、世界的な協力が不可欠です。ぜひ、私たちも一人ひとりの力で支援の手を差し伸べていきましょう。